喘息管理におけるLABAの安全性は?/NEJM

長時間作用性β2刺激薬(LABA)+吸入ステロイド薬(ICS)併用療法は、ICS単独と比較して、重篤な喘息関連イベントリスクを有意に高めることはなく、また喘息発作が有意に少ない結果であったことが、米国・ウィスコンシン大学マディソン校のWilliam W. Busse氏らによる、4試験の統合メタ解析の結果、示された。喘息管理におけるLABAの安全性の懸念は、死亡リスクの増加が認められた市販後大規模調査で初めて認識された。そこで米国医薬品局(FDA)は2010年に、販売4社(アストラゼネカ、グラクソスミスクライン、メルク、ノバルティス)に対して、思春期(12~17歳)および成人患者を対象としたLABA+ICS vs.ICS単独の安全性に関する前向き無作為化試験の実施を命じていた。NEJM誌2018年6月28日号掲載の報告。
LABA+ICS vs.ICS単独の4試験の結果を統合メタ解析
試験実施に際して製造業者は、FDAと協力して、最終的に独立合同監視委員会が4試験の統合解析(とくに主要アウトカムおよび副次アウトカムの評価)が行えるように、試験方法を調整していた。なお、アストラゼネカ、グラクソスミスクライン、メルク各社による3試験は完了し結果がそれぞれ発表されたが、ノバルティスによる試験は、同社が該当の薬剤を米国市場から撤退させたため(安全性が理由ではない)中途で終了となった。Busse氏ら研究グループは、それら4試験に登録された患者3万6,010例(アストラゼネカの試験1万1,693例、グラクソスミスクライン1万1,750例、メルク1万1,744例、ノバルティス823例)のデータを基に、LABA+ICS併用群とICS単独群を比較するintention-to-treat(ITT)解析を行った。主要アウトカムは、事前に規定した喘息に関連した挿管または死亡の複合であった。また、割り付け試験薬を1回以上服用した患者を包含した修正ITT集団のデータを基に事後の副次統合解析も行い、重篤な喘息関連イベント(入院、挿管、死亡の複合)を評価した。重篤な喘息関連イベントリスクや発作リスクの高いサブグループ患者の解析も行った。
併用群の有益性が示される結果に
ITT解析で4例の患者において、喘息関連の挿管が3件(2件がICS単独群、1件が併用群)、喘息関連の死亡が2例(いずれも併用群)あった。重篤な喘息関連イベントの副次解析では、ICS単独群では108/1万8,006例(0.60%)、併用群は119/1万8,004例(0.66%)で、少なくとも1回以上の各イベントが認められた(併用群の相対リスクは1.09、95%信頼区間[CI]:0.83~1.43、p=0.55)。また、少なくとも1回以上の喘息発作を有したのは、ICS単独群2,100例(11.7%)、併用群1,768例(9.8%)であった(相対リスク:0.83、95%CI:0.78~0.89、p<0.001)。
(ケアネット)
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