責任病変のみのPCIで心原性ショックを伴うAMIの転帰は?/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/09/21

 

 心原性ショックを伴う急性心筋梗塞(AMI)患者において、責任病変のみに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した患者のほうが多枝血管PCIを施行した患者より、30日時点の死亡/腎代替療法のリスクが低く、1年後も両群で死亡率に差はないことが、CULPRIT-SHOCK試験の1年追跡結果で明らかとなった。ドイツ・ライプチヒ大学のHolger Thiele氏らが報告した。同試験では、30日複合リスク(死亡または腎代替療法を要する重症腎不全)について、即時多枝血管PCIより責任病変のみのPCIで低いことが示されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月25日号掲載の報告。

責任病変単独PCIと多枝PCIの1年後の転帰をAMI患者約700例で比較

 CULPRIT-SHOCK試験では、欧州の83施設にて心原性ショックを伴う多枝病変のAMI患者706例が、責任病変のみにPCIを施行する責任病変単独PCI群と、責任病変と同時に非責任病変に対してもPCIを施行する多枝PCI群に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目は、無作為化後30日以内の死亡または腎代替療法を要する重症腎不全の複合エンドポイント。事前定義された1年時の副次評価項目は、全死因死亡、心筋梗塞再発、再血行再建術、うっ血性心不全による再入院、死亡/再梗塞の複合、死亡/再梗塞/心不全による再入院の複合などであった。

責任病変単独PCI群で、1年死亡率は低い傾向、再血行再建術と心不全再入院は多い

 すでに報告されているとおり、主要評価項目である30日時点の複合エンドポイント発生率は、責任病変単独PCI群45.9%、多枝PCI群55.4%であった(p=0.01)。

 1年時において、死亡は責任病変単独PCI群で50.0%(172/344例)、多枝PCI群で56.9%(194/341)に発生した(相対リスク:0.88、95%信頼区間[CI]:0.76~1.01)。再梗塞率は、責任病変単独PCI群1.7%、多枝PCI群2.1%(相対リスク:0.85、95%CI:0.29~2.50)、死亡/再梗塞の複合エンドポイントは、それぞれ50.9%および58.4%であった(相対リスク:0.87、95%CI:0.76~1.00)。再血行再建術については、責任病変単独PCI群のほうが多枝PCI群より頻度が高く(32.3% vs.9.4%、相対リスク:3.44、95%CI:2.39~4.95)、心不全による再入院も同様に責任病変単独PCI群のほうが高い結果であった(5.2% vs.1.2%、相対リスク:4.46、95%CI:1.53~13.04)。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 中川 義久( なかがわ よしひさ ) 氏

滋賀医科大学 循環器内科 教授

J-CLEAR評議員