CVD高リスクCOPD、LAMAの長期安全性確認/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2019/05/16

 

 心血管疾患リスクの高いCOPD患者に対して、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)アクリジニウムの長期投与はプラセボと比較して、3年時点の主要心血管イベント(MACE)リスクについて非劣性であることが示された。中等症~重症COPDの1年時増悪率も有意に減少した。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のRobert A. Wise氏らが、約3,600例を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、JAMA誌2019年5月7日号で発表した。LAMAについては、COPD患者の心血管罹患率および死亡率を増大するとの懸念が示されていた。

最長3年間追跡し、MACEリスクを比較
 研究グループは2013年10月16日~2016年8月22日にかけて、北米522ヵ所の医療機関を通じて、中等症~重症COPD患者で、心血管疾患既往またはアテローム動脈硬化症のリスク因子が2つ以上ある3,630例を対象に試験を開始した。

 被験者を無作為に2群に分け、一方にはアクリジニウム(1,812例)を、もう一方にはプラセボ(1,818例)を、それぞれドライパウダー吸入器で1日2回投与した。追跡は最長3年間で、MACEが122件以上発生となるまで継続した。最後の被験者の追跡が完了したのは2017年9月だった。

 安全性に関する主要アウトカムは、3年の間に発生した初回MACEの発生までの期間で、非劣性マージンはハザード比の片側97.5%信頼区間1.8とした。

 有効性に関する主要アウトカムは、治療1年目のCOPD増悪率だった。副次アウトカムは、MACEまたは急性心不全などの重篤な心血管イベントを含めた“拡大定義MACE”の初回発生までの期間や、入院を要する増悪の年発生率などだった。

MACE、MACE+重度心血管イベント発生率、対プラセボで非劣性
 分析には3,589例が包含された(アクリジニウム群1,791例、プラセボ群1,798例)。平均年齢は67.2歳、男性の割合は58.7%で、2,537例(70.7%)が試験を完遂した。

 MACE発生率は、アクリジニウム群3.9%(69例)、プラセボ群4.2%(76例)で、アクリジニウム群のプラセボ群に対する非劣性が示された。(ハザード比[HR]:0.89、片側97.5%信頼区間[CI]:0~1.23)。

 拡大定義MACEの発生も、アクリジニウム群9.4%(168例)、プラセボ群8.9%(160例)で、アクリジニウム群の非劣性が示された(HR:1.03、片側97.5%CI:0~1.28)。

 一方で、COPD増悪率はアクリジニウム群0.44/年で、プラセボ群0.57/年より有意に低率だった(率比:0.78、両側95%CI:0.68~0.89、p<0.001)。入院を要する増悪率も、それぞれ0.07、0.10で、アクリジニウム群が有意に低率だった(率比:0.65、両側95%CI:0.48~0.89、p=0.006)。

 最も頻度の高い有害事象は、肺炎(アクリジニウム群109例[6.1%]vs.プラセボ群105例[5.8%])、尿路感染症(93例[5.2%]vs.89例[5.0%])、そして上気道感染症(86例[4.8%]vs.101例[5.6%])だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)