経口ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬elagolixは、ホルモン補充を行うadd-back療法との併用により、子宮筋腫に伴う過多月経の軽減に有効であることが示された。米国・トーマス・ジェファソン大学のWilliam D. Schlaff氏らが、elagolix+add-back療法の有効性と安全性を検証する2つの独立した6ヵ月間の無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「Elaris Uterine Fibroids(UF)-1試験」および「UF-2試験」の結果を報告した。子宮筋腫は過多月経と関連するホルモン感受性腫瘍であり、卵巣性ホルモンを迅速かつ可逆的に抑制するelagolixは、子宮筋腫による出血を軽減する可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年1月23日号掲載の報告。
elagolix+add-back療法を2件の臨床試験で評価
研究グループは、子宮筋腫による出血のある女性を、elagolix(300mgを1日2回)+add-back療法(内因性ホルモン低下を補うため、本試験ではエストラジオール1mgおよび酢酸ノルエチステロン0.5mgを1日1回投与)(併用療法)群と、elagolixのみ投与(単独)群、およびプラセボ群に2対1対1の割合で無作為に割り付けた。elagolix単独群は、elagolixのエストロゲン低下作用へのadd-back療法の影響を評価するために組み込まれた。
主要評価項目は、投与最終月の経血量が80mL未満で、最終月の経血量がベースライン時から50%以上減少した患者の割合とした。欠損データは多重代入法により補完し、ロジスティック回帰モデルを用いて解析した。
UF-1試験で412例、UF-2試験で378例が無作為化され、elagolixまたはプラセボの投与を受け、本解析に組み込まれた。
elagolix+add-back療法の主要評価項目達成率はプラセボより有意に高い
主要評価項目を達成した患者の割合は、elagolix+add-back併用療法群がUF-1試験(206例)で68.5%、UF-2試験(189例)で76.5%であったのに対し、プラセボ群ではUF-1試験(102例)で8.7%、UF-2試験(94例)で10%であった(両試験ともp<0.001)。また、elagolix単独群では、UF-1試験(104例)で84.1%、UF-2試験(95例)で77%であった。
ホットフラッシュは両試験で、不正出血はUF-1試験で、elagolix+add-back併用療法群がプラセボ群より有意に高頻度であった。elagolixによるエストロゲン低下作用、とくに骨密度の低下はadd-back療法で軽減された。
なお著者は、elagolix単独療法とelagolix+add-back併用療法を比較した場合の、骨密度以外のアウトカムへの影響については結論付けられないと述べている。
(医学ライター 吉尾 幸恵)