慢性疾患が2つ以上併存する多疾患罹患(multimorbidity)の患者が一般的にみられるようになっているが、この多疾患罹患を評価する指標は、研究者と臨床医でさまざまに異なっている。英国・エディンバラ大学のLucy E. Stirland氏らは、システマティックレビューにて多疾患罹患を評価する指標の特定などを行った結果、異なる項目とアウトカムから構成される35の指標が利用可能であることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「研究者と臨床医は、新たな指標を作成する前に、既存の指標の適合性を検証する必要があるだろう」と述べている。BMJ誌2020年2月18日号掲載の報告。
システマティックレビューで指標を特定および評価
研究グループは、併存疾患数にかかわらず多疾患罹患を評価する既存の指標を特定およびサマライズすること、メンタルヘルスの併存またはアウトカムを包含した指標であるかを確認すること、さらに適用性、実行性、活用性をベースにした勧告を作成することを目的とするシステマティックレビューを行った。
データソースは、2018年10月までの7つのメディカルリサーチデータベース(Medline、Web of Science Core Collection、Cochrane Library、Embase、PsycINFO、Scopus、CINAHL Plus)、および関連論文の参考・引用文献。検索の対象は英語の出版物のみとした。疾患数よりも多くの情報を含み、1つの特異的疾患に関連する併存疾患へのフォーカスではない、新たな多疾患罹患の指標について描出していたオリジナル論文を適格とした。また、コミュニティおよび集団レベルの成人を試験対象のベースとしているものとした。
使用が推奨されるのは12指標
7,128報が検索され、重複を除いた5,560のタイトルが特定された。適格基準についてスクリーニング後、最終的に35の指標を示した論文がレビューに包含された。
指標項目としては、状態(他のパラメーターに重きを置いたものまたは統合したもの)を用いたものが25指標、診断カテゴリーを用いたものが5指標、薬物使用を用いたものが4指標、生理学的評価を用いたものが1指標であった。
予測アウトカムは、死亡(18指標)、医療の利用またはコスト(13指標)、入院(13指標)、健康関連QOL(7指標)であった。
メンタルヘルスは29指標で併存疾患に含まれており、多くの指標で考慮されていることが示唆された。
使用が推奨されるのは12指標であった。
(ケアネット)