脳梗塞へのtenecteplase、投与量で改善の違いは?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/06

 

 主幹動脈閉塞の脳梗塞患者において、tenecteplaseの投与量0.40mg/kgは同0.25mg/kgと比較し、血栓除去術施行前の脳再灌流を改善しなかった。オーストラリア・メルボルン大学のBruce C. V. Campbell氏らが、同国27施設およびニュージーランドの1施設で実施した多施設共同無作為化臨床試験「EXTEND-IA TNK Part 2試験」の結果を報告した。先行して行われたEXTEND-IA TNK試験において、同様の脳梗塞患者に対するtenecteplaseによる血栓溶解療法はアルテプラーゼと比較し、血栓除去術施行前の再灌流を改善することが示されていた。JAMA誌オンライン版2020年2月20日号掲載の報告。

tenecteplase 0.40mg/kgまたは0.25mg/kgに無作為化

 EXTEND-IA TNK Part 2試験は、2017年12月~2019年7月の期間に患者を登録し、非盲検下で治療を行い、画像診断および臨床転帰の評価は盲検下で実施した無作為化臨床試験である。対象は、標準的な静脈血栓溶解療法の適格基準である発症後4.5時間未満で内頸動脈/中大脳動脈/脳底動脈の閉塞を有する脳梗塞成人患者300例で、tenecteplase 0.40mg/kg(最大40mg)群(150例)またはtenecteplase 0.25mg/kg(最大25mg)群(150例)に無作為化し、それぞれ血管内血栓除去術の前に投与した(2019年10月まで追跡調査)。

 主要評価項目は、当該虚血領域の50%超の再灌流で、盲検下の神経放射線科医2人による合意に基づく評価とした。

 副次評価項目は、90日後の機能障害(modified Rankin Scale[mRS]スコア:0~6点)、mRSスコア0~1または90日時点でベースラインから変化なし、mRSスコア0~2または90日時点でベースラインからの変化なし、早期神経学的改善(3日後のNational Institutes of Health Stroke Scale[NIHSS]スコアの8点以上の低下または0~1点への改善)、36時間以内の症候性頭蓋内出血および全死因死亡であった。

tenecteplase投与量の違いで有効性に差はなし

 無作為化された300例(平均年齢72.7歳、女性141例[47%])が試験を完遂した。

 主要評価項目を達成した患者の割合は、tenecteplase 0.40mg/kg群19.3%(29/150例)vs. tenecteplase 0.25mg/kg群19.3%(29/150例)であった(補正前リスク差:0.0%[95%信頼区間[CI]:-8.9~−8.9]、補正後リスク比:1.03[0.66~1.61]、p=0.89)。

 6つの副次評価項目についても、tenecteplase 0.40mg/kg群とtenecteplase 0.25mg/kg群の間で、4つの機能アウトカムのみならず、全死因死亡(26例[17%]vs.22例[15%]、補正前リスク差:2.7%[95%CI:-5.6~11.0])、ならびに症候性頭蓋内出血(7例[4.7%]vs.2例[1.3%]、3.3%[-0.5~7.2])も有意差は認められなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 中川原 譲二( なかがわら じょうじ ) 氏

梅田脳・脊髄・神経クリニック 脳神経外科

J-CLEAR評議員