米国青少年の食事の質、半数以上で低いまま/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2020/04/06

 

 米国の青少年の食事の質は、1999年から2016年にかけてわずかに改善されたものの、半数以上では依然として低劣であることが、米国・タフツ大学のJunxiu Liu氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2020年3月24日号に掲載された。これまでに行われた米国の青少年の食事傾向に関する研究は、重要な主要栄養素やごく一部の食品に限られており、使用されたデータも古いという。

2~19歳の食事の傾向を評価する連続横断研究

 研究グループは、米国の青少年における食事の質の傾向に関して、その特性を明らかにする目的で連続横断研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。

 1999~2016年の期間に実施された9回の米国国民健康栄養調査(NHANES)から、2~19歳を対象とした24時間思い出し法(24-hour dietary recall)による調査のデータを解析した。

 主要アウトカムは、米国心臓協会(AHA)の2020年の連続的な主要食事スコア(AHA primary diet score[0~50点]:果物/野菜、全粒穀物、魚類/甲殻類/貝類、砂糖入り飲料、塩分の総量に基づく)の目標値の達成割合とした。追加アウトカムとして、AHAの副次食事スコア(AHA secondary diet score[0~80点]:ナッツ類・種子類・豆類の追加、加工肉、飽和脂肪)および健康食指数2015年(HEI-2015)スコア(0~100点)の評価を行った。

 低い質の食事は、順守度<40%(AHA主要食事スコア<20点、AHA副次食事スコア<32点)、中等度の質の食事は順守度40~79.9%(それぞれ20~39.9点、32~63.9点)、理想的な質の食事は順守度≧80%(それぞれ≧40点、≧64点)と定義された。高食事スコアは、食事の質が高いことを示す。臨床的に意義のある最小変化量は定量化しなかった。

主要スコアが27%、副次スコアが13.0%改善

 少なくとも1回の24時間思い出し法による調査を受けた2~19歳の3万1,420人(平均年齢10.6歳、女性49.1%)が解析に含まれた。

 推定AHA主要食事スコアは、1999年の14.8点(95%信頼区間[CI]:14.1~15.4)から2016年には18.8点(18.1~19.6)へと27%改善した(傾向検定p<0.001)。また、同じ期間に、推定AHA副次食事スコアは29.2点(28.1~30.4)から33.0点(32.0~33.9)へと13.0%改善し、推定HEI-2015スコアは44.6点(43.5~45.8)から49.6点(48.5~50.8)へと11.2%改善した(いずれも傾向検定のp<0.001)。

 AHA主要食事スコアに基づく評価で低い質の食事と判定された青少年の推定割合は、76.8%(95%CI:72.9~80.2)から56.1%(51.4~60.7)へと有意に低下し、中等度の質の食事は23.2%(19.8~26.9)から43.7%(39.1~48.3)へと有意に増加した(それぞれ傾向検定のp<0.001)。また、理想的な質の食事の条件を満たす推定割合は、0.07%(0.01~0.49)から0.25%(0.10~0.62)へと統計学的に有意に増加(傾向検定のp=0.03)したものの、依然として低率だった。

 2015~16年に低い質の食事と判定された青少年の割合は、2~5歳が39.8%(95%CI:35.1~44.5)、6~11歳が52.5%(46.4~58.5)、12~19歳は66.6%(61.4~71.4)であった。同様に、親の学歴、世帯収入、世帯の食料安全保障状況が高い青少年も低い青少年でも、食事の質は経時的に改善した。

 2015~16年の低い質の食事の推定割合は、世帯収入が貧困水準の1.30倍未満の青少年では64.5%(95%CI:59.5~69.1)、3.00倍以上の青少年では47.2%(39.4~55.3)であり、親の学歴および世帯の食料安全保障状況でも同様の差が認められた。

 著者は、「1999~2016年の期間における米国の青少年の食事の質の全般的な改善には、果物や野菜(とくに1個丸ごとの果物)、全粒穀物の消費の増加とともに、乳製品やタンパク質食品、海産物、植物性タンパク質の増加が加わり、砂糖入り飲料や砂糖添加食品の消費の減少が関連していた」としている。

(医学ライター 菅野 守)