ツリウムレーザー前立腺切除術(ThuVARP)は経尿道的前立腺切除術(TURP)と比較して、術後12ヵ月時の尿路症状改善(国際前立腺症状スコア:IPSS)は同等であったが、最大尿流率(Qmax)はTURPが優れていた。ThuVARPの利点として期待された在院日数や合併症の減少は確認されなかった。英国・Southmead HospitalのHashim Hashim氏らが、TURPとThuVARPを比較した無作為化同等性試験「UNBLOCS試験」の結果を報告した。TURPは良性前立腺閉塞に対する標準治療で、ThuVARPは合併症や在院日数の減少などの利点が示唆されていた。Lancet誌2020年7月4日号掲載の報告。
下部尿路症状または尿閉を伴う良性前立腺閉塞患者を対象に無作為化試験
研究グループは、英国の病院7施設において、良性前立腺閉塞に続発する下部尿路症状または尿閉を有する男性を、手術時にThuVARP群またはTURP群に1対1の割合で無作為に割り付けた。患者は、追跡調査終了まで盲検化された。TURPは通常のモノポーラまたはバイポーラを使用し、試験に参加した外科医は全員ThuVARP法のトレーニングを受けた。
主要評価項目は、術後12ヵ月時のQmaxおよびIPSS。同等性マージンは、両群間の差(ThuVARP群-TURP群)の95%信頼区間が、IPSSで±2.5点以内、Qmaxで±4mL/秒以内と定義し、intention-to-treat解析で評価した。
ThuVARP、在院日数や合併症の減少には至らず
2014年7月23日~2016年12月30日の期間に、男性410例がThuVARP群またはTURP群に無作為化された(各205例)。
Qmax(平均値)は、TURP群23.2mL/秒、ThuVARP群20.2mL/秒であり、TURP群が優れていた(補正群間差:-3.12、95%信頼区間[CI]:-5.79~-0.45)。IPSS(平均値)はTURP群6.3点、ThuVARP群6.4点で、同等性が認められた(補正群間差:0.28、95%CI:-0.92~1.49)。
平均在院日数は、両群とも48時間であった。1つ以上の合併症が認められた患者は、TURP群が204例中91例(45%)、ThuVARP群が203例中96例(47%)であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)