中国の新型コロナワクチン、第II相試験で抗体陽転率96%以上/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2020/07/31

 

 中国で開発されている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の、遺伝子組み換えアデノウイルス5型(Ad5)ベクター化ワクチンは、ウイルス粒子5×1010/mLの単回筋肉内投与により有意な免疫反応を誘導し、安全性は良好であることが示された。中国・江蘇省疾病管理予防センターのFeng-Cai Zhu氏らが行った第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。著者は、「結果は健康成人対象の第III相試験で、ウイルス粒子5×1010/mLのAd5ベクター化COVID-19ワクチンの有効性を検証することを支持するものであった」と述べている。Lancet誌オンライン版2020年7月20日号掲載の報告。

中国のコロナワクチンの2つの用量とプラセボを比較

 研究グループは、中国・武漢市の単一施設において、HIV陰性で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染歴がない18歳以上の健康成人を、ウイルス粒子が1×1011/mL群、5×1010/mL群、またはプラセボ群のいずれかに、2対1対1の割合で無作為に割り付け(ブロックサイズ4)、単回筋肉内注射した。被験者、治験責任医師および検査室のスタッフは、割り付けに関して盲検化された。

 免疫原性の主要評価項目は、投与後28日時点の受容体結合ドメイン(RBD)特異的ELISA抗体価ならびに中和抗体価の幾何平均値(GMT)とした。安全性の主要評価項目は、投与後14日以内の有害事象であった。いずれも少なくとも1回の投与を受けたすべての被験者を解析対象とした。

1×1011/mLと5×1010/mLで、抗体陽転率96%と97%、重度有害事象9%と1%

 2020年4月11日~16日の期間に603例がスクリーニングされ、適格基準を満たした508例(男性50%、平均[±SD]年齢39.7±12.5歳)が、無作為に割り付けられた(1×1011/mL群253例、5×1010/mL群129例、プラセボ群126例)。

 中国で開発されているコロナワクチンの1×1011/mL群および5×1010/mL群では、28日時点のRBD特異的ELISA抗体のピークはそれぞれ656.5(95%信頼区間[CI]:575.2~749.2)および571.0(467.6~697.3)、抗体陽転率は96%(93~98)および97%(92~99)であった。いずれも、生SARS-CoV-2に対する有意な中和抗体反応が誘導され、GMTは1×1011/mL群で19.5(16.8~22.7)、5×1010/mL群で18.3(14.4~23.3)であった。

 コロナワクチン投与後の特異的インターフェロンγ酵素結合免疫スポットアッセイ反応は、1×1011/mL群で253例中227例(90%、95%CI:85~93)、5×1010/mL群で129例中113例(88%、81~92)に確認された。

 非自発報告による有害事象は1×1011/mL群で253例中183例(72%)、5×1010/mL群で129例中96例(74%)、重度の有害事象はそれぞれ24例(9%)および1例(1%)報告された。重篤な有害事象は確認されなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事