心血管リスク患者へのフェブキソスタット、アロプリノールに非劣性/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2020/11/20

 

 心血管リスク因子を有する痛風患者において、フェブキソスタットはアロプリノールと比較し、主要評価項目である複合心血管イベントに関して非劣性であることが示された。長期投与による死亡あるいは重篤な有害事象のリスク増加も確認されなかった。英国・ダンディー大学のIsla S. Mackenzie氏らが、多施設共同前向き無作為化非盲検非劣性試験「FAST試験」の結果を報告した。フェブキソスタットとアロプリノールはともに痛風の治療に用いられる尿酸降下薬であるが、フェブキソスタットの心血管系への安全性に懸念があり、欧州医薬品庁は安全性をアロプリノールと比較する市販後臨床試験の実施を勧告していた。Lancet誌オンライン版2020年11月9日号掲載の報告。

心血管リスク因子を有する60歳以上の痛風患者約6千例が対象

 FAST試験は、英国、デンマークおよびスウェーデンの18施設で実施された。対象は、すでにアロプリノールの投与を受け、少なくとも1つの心血管リスク因子を有する60歳以上の痛風患者で、過去6ヵ月間に心筋梗塞または脳卒中を発症した患者、重度うっ血性心不全または重度腎機能障害を有する患者は除外された。導入期として血清尿酸値0.357mmol/L(6mg/dL)未満を達成するためにアロプリノールの投与量を最適化した後、アロプリノール継続投与(最適化された投与量)群、またはフェブキソスタット群(80mg/日から投与を開始し、目標の血清尿酸値を達成するため必要に応じて120mg/日まで増量)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。心血管イベントの既往の有無による層別化も行った。

 主要評価項目は、非致死的心筋梗塞またはバイオマーカー陽性急性冠症候群による入院、非致死的脳卒中、または心血管死の複合エンドポイントであった。層別化因子と国で調整したCox比例ハザードモデルを用い、on-treatment解析でアロプリノールに対するフェブキソスタットのハザード比(HR)を算出し非劣性を評価した(非劣性マージン:HR=1.3)。

 2011年12月20日~2018年1月26日の期間に、6,128例(平均年齢71.0歳、男性85.3%/女性14.7%、心血管疾患既往歴あり33.4%)が、アロプリノール群(3,065例)およびフェブキソスタット群(3,063例)に割り付けられた。

100人年当たり主要評価項目イベント発現頻度、1.72 vs.2.05

 試験終了(2019年12月31日)までに、すべての追跡調査を撤回したのは、フェブキソスタット群189例(6.2%)、アロプリノール群169例(5.5%)であった。追跡期間中央値は1,467日(IQR:1,029~2,052)、on-treatment解析の追跡期間中央値は1,324日(IQR:870~1,919)であった。

 主要評価項目のイベント発生は、on-treatment解析でフェブキソスタット群172例(100人年当たり1.72件)、アロプリノール群241例(100人年当たり2.05件)で、補正後HRは0.85(95%信頼区間[CI]:0.70~1.03、p<0.0001)で非劣性が認められた。

 フェブキソスタット群では、3,063例中222例(7.2%)が死亡し、安全性解析対象集団3,001例中1,720例(57.3%)に重篤な有害事象が発現した(治療に関連した事象は19例[0.6%]に23件発現)。一方、アロプリノール群では、3,065例中263例(8.6%)が死亡し、安全性解析対象集団3,050例中1,812例(59.4%)に重篤な有害事象を認めた(治療に関連した事象は5例[0.2%]に5件発現)。フェブキソスタット群で973例(32.4%)、アロプリノール群で503例(16.5%)が治療を中止した。

(医学ライター 吉尾 幸恵)