ガイドライン、報告書、意見記事、レビューでも利益相反の影/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/21

 

 臨床ガイドライン、諮問委員会の報告書、意見記事、ナラティブレビューにおいて、金銭的な利益相反と薬品およびデバイスの推奨は関連しているとのシステマティックレビューによる調査結果を、デンマーク・オーデンセ大学病院のCamilla H. Nejstgaard氏らが報告した。ただし今回のレビューには、包含した研究に交絡リスクがあったこと、個々の文書の解析に統計学的に不正確な点があったことなどの限界があり、非金銭的な利益相反が推奨事項に影響を与えるかどうかは定かでないとしている。これまでの研究では、金銭的利益相反と推奨との関連は、重要な試験やシステマティックレビューでは認められることが報告されていたが、臨床ガイドライン、諮問委員会の報告書、意見記事、ナラティブレビューについては関連性の程度は明らかになっていなかった。BMJ誌2020年12月9日号掲載の報告。

システマティックレビューで、利益相反と推奨との関連を調査

 研究グループは、臨床ガイドライン、諮問委員会の報告書、意見記事(エディトリアルなど)、ナラティブレビューにおける、利益相反と薬品またはデバイスの推奨(たとえば推奨薬など)との関連を比較していた研究を対象としたシステマティックレビューを行った。適格研究はPubMed、Embase、Cochrane Methodology Register(創刊~2020年2月)、参考文献リスト、Web of Science、灰色文献で検索され、2人の著者がそれぞれデータを抽出し、試験の方法論的質を評価した。統合相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を、ランダム効果モデルを用いて算出(RR>1は利益相反のある文書がない文書よりも多くの推奨を有することを示す)。金銭的および非金銭的利益相反をそれぞれ解析し、4タイプの文書別に解析(事前に計画)および統合して解析(事後解析)した。

関連性の相対リスクは各文書で1.20~2.62、統合解析で1.26

 解析には、21の研究(臨床ガイドライン106本、諮問委員会の報告書1,809本、意見記事340本、ナラティブレビュー497本)が包含された。11の研究で非公表データ(8研究は完全データ、3研究は要約データ)を入手できた。一方で、15の研究では、比較文書が利益相反以外の要因(異なる薬品が異なる集団に使われたなど)によって異なる可能性があり、交絡リスクが認められた。

 金銭的利益相反と推奨の関連性のRRは、臨床ガイドラインで1.26(95%CI:0.93~1.69、4研究・86本)、諮問委員会の報告書で1.20(0.99~1.45、4研究・629本)、意見記事で2.62(0.91~7.55、4研究・284本)、ナラティブレビューで1.20(0.97~1.49、4研究・457本)であった。

 これらの調査結果は、4タイプの文書のすべてを統合した解析でも支持された(1.26、1.09~1.44)。

 なお、専門分野について調査した1つの研究(臨床ガイドライン12本を包含)で、ガイドラインの著者に放射線科医を含めること、および乳がんのルーチンなスクリーニング推奨に、関連性が認められることが報告されていた(RR:2.10、95%CI:0.92~4.77)。

(ケアネット)