PCI患者の抗血小板療法、ガイド下 vs.標準治療/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/06

 

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者の抗血小板療法は、血小板機能検査等に基づいた選択により、標準治療と比較して複合および個々のイベントに対する有効性が改善され、安全性についても良好な結果を得られることが、米国・フロリダ大学のMattia Galli氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにされた。PCIを受ける患者の抗血小板療法については、検査等に基づいた抗血小板療法の選択が標準治療と比較して転帰の改善に有用かどうか、依然として議論の余地があった。Lancet誌2021年4月17日号掲載の報告。

システマティックレビューとメタ解析で有効性および安全性を評価

 研究グループは、2020年8月20日~10月25日の期間に、MEDLINE(PubMed経由)、Cochrane、EmbaseおよびWeb of Scienceを用い、PCIを受ける患者において血小板機能検査または遺伝子検査に基づいた(ガイド下)抗血小板療法と標準抗血小板療法を比較した無作為化比較試験および観察研究を、言語は問わず検索した。2人の研究者が独立して研究の適格性を評価し、データを抽出するとともにバイアスリスクを評価した。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)は、研究間の不均一性(I2)に従い、ランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いて算出した。

 主要評価項目は、試験で定義された主要有害心血管イベント(MACE)および、あらゆる出血であった。主な副次評価項目は、全死因死亡、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、probable/definiteステント血栓症、および大出血/小出血とした。

約2万例のデータの解析で、ガイド下抗血小板療法は予後改善に関与

 3,656報がスクリーニングされ、無作為化比較試験11件および観察研究3件、計2万743例が解析対象となった。

 標準抗血小板療法と比較してガイド下抗血小板療法は、統計学的に有意ではないものの、MACE(RR:0.78、95%CI:0.63~0.95、p=0.015)および出血(0.88、0.77~1.01、p=0.069)の減少と関連していた。

 また、心血管死(RR:0.77、95%CI:0.59~1.00、p=0.049)、心筋梗塞(0.76、0.60~0.96、p=0.021)、ステント血栓症(0.64、0.46~0.89、p=0.011)、脳卒中(0.66、0.48~0.91、p=0.010)、および小出血(0.78、0.67~0.92、p=0.0030)は、標準抗血小板療法と比較し、ガイド下抗血小板療法で減少した。

 全死因死亡および大出血のリスクは、ガイド下抗血小板療法と標準抗血小板療法の間に差はなかった。治療成績は治療法によって異なり、escalation治療では安全性が低下することなく虚血性イベントが有意に減少し、de-escalation治療では有効性が低下することなく出血が有意に減少した。

(ケアネット)

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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事