インドで開発された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBBV152は、成人においてウイルス学的に確認された症候性COVID-19の発症予防に対し高い有効性を示し、忍容性は良好で安全性に関する懸念はない。インド・バーラト・バイオテック社のRaches Ella氏らが、インドの25施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験の中間解析結果を報告した。BBV152ワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)NIV-2020-770株をβ-プロピオラクトンで不活化し、ウイルス抗原6μgを、ミョウバン(Algel)にtoll様受容体7/8アゴニスト分子(イミダゾキノリン:IMDG)を吸着させたAlgel-IMDGと共に製剤化した不活化全ウイルスワクチンで、保存温度は2~8度であることから、輸送・保管システムの必要条件を緩和できる可能性が示されている。Lancet誌オンライン版2021年11月11日号掲載の報告。
約2万6千人をBBV152ワクチン群とプラセボ群に無作為化
研究グループは、18歳以上の健康成人または慢性疾患を有する成人(免疫不全状態または免疫抑制療法が必要な状態ではない)を、ワクチン群またはプラセボ(Algelのみ含有)群に、慢性疾患の有無で層別化して1対1の割合に無作為に割り付け、ワクチンまたはプラセボを4週間間隔で2回筋肉内投与した。
主要評価項目は、per-protocol集団(ベースラインで血清陰性、2回目投与後14日以上追跡)におけるワクチン2回目投与から14日以降の症候性COVID-19(PCR検査により確認、重症度は問わない)初回発症に対する有効性とした。また、ワクチンを少なくとも1回またはプラセボの投与を受けたすべての被験者における、試験期間中の安全性と反応原性についても評価した。
2020年11月16日~2021年1月7日の間に、26,028例がスクリーニングを受け、2万5,798例がワクチン群(1万2,899例)およびプラセボ群(1万2,899例)に無作為に割り付けられた。
有害事象は同率、アナフィラキシーやワクチン関連死の報告なし
無作為化された2万5,798例のうち、2万4,419例がワクチンまたはプラセボの2回投与を完了した(それぞれ1万2,221例、1万2,198例)。
データカットオフ(2021年5月17日)時点で、per-protocol集団1万6,973例中、症候性COVID-19は130例に認められた。ワクチン群が8,471例中24例(0.3%)、プラセボ群が8,502例中106例(1.2%)であり、全体でのワクチン有効率は77.8%(95%信頼区間:65.2~86.4)と推定された。
安全性解析対象集団は2万5,753例で、このうち3,194例に5,959件の有害事象が発生した。有害事象の発現率は、ワクチン群12.4%(1,597/12,879例)、プラセボ群12.4%(1,597/12,874例)と同じであり、自発的および非自発的に報告された有害事象、重篤な有害事象の発現率に両群で有意差はなく、アナフィラキシーやワクチン関連死も報告されなかった。
(ケアネット)