ナトリウムとカリウムの摂取量、心血管リスクと用量反応的に関連/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/03

 

 ナトリウム摂取量の増加ならびにカリウム摂取量の低下は、用量反応的に心血管リスクの増加と関連していることが、2回以上の24時間尿検体の測定値を用いた解析で明らかとなった。米国・ハーバード公衆衛生大学院のYuan Ma氏らが、前向きコホート研究6件のメタ解析結果を報告した。ナトリウム摂取量と心血管疾患との関連については、ナトリウム摂取量の評価が不正確であるなどの理由で議論の的となっているが、24時間尿中排泄量を複数回評価することは、正確な方法と考えられる。今回の結果を踏まえて著者は、「これらの知見は、現在よりナトリウム摂取量を減らし、カリウム摂取量を増やすことを支持するものである」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年11月13日号掲載の報告。

6つのコホートの個人データを組み合わせて、心血管リスクを評価

 研究グループは、一般健康成人を対象にした6件の前向きコホート研究「HPFS」「NHS」「NHS II」「PREVEND」「TOHP I」「TOHP II」の、参加者個々のデータを用い、ナトリウムおよびカリウム摂取量と心血管リスクの関連性を検討した。解析対象は、ベースライン時に2回以上24時間尿検体中のナトリウムおよびカリウム排泄量が測定されている個人である(2回の24時間尿採取を行った期間をベースラインと定義)。

 主要評価項目は、心血管イベント(冠動脈血行再建、致死的/非致死的心筋梗塞、および致死的/非致死的脳卒中の複合)で、尿中ナトリウムおよびカリウム排泄量、ならびにナトリウム/カリウム比と心血管イベントリスクとの関連を、各研究について同一の方法を用いて解析した後、ランダム効果メタ解析を用いて各研究の結果を統合した。

ナトリウム摂取量の増加は心血管リスク上昇と関連

 解析対象は計1万709例で、平均(±SD)年齢は51.5±12.6歳、女性が54.2%であった。

 追跡調査期間中央値8.8年において、571件の心血管イベントが確認された(発生頻度5.9/1,000人年)。24時間尿中ナトリウム排泄量中央値は3,270mgであった(10~90パーセンタイル値:2,099~4,899)。

 交絡要因を調整後、ナトリウム排泄量の増加、カリウム排泄量の低下、およびナトリウム/カリウム比高値は、いずれも心血管リスクの増加と関連していた(いずれもp≦0.005)。各値の第1四分位群(最低群)に対する第4四分位群(最高群)のハザード比(HR)は、ナトリウム排泄量に関しては1.60(95%信頼区間[CI]:1.19~2.14)、カリウム排泄量は0.69(0.51~0.91)、ナトリウム/カリウム比は1.62(1.25~2.10)であった。

 また、1日ナトリウム排泄量の1,000mg増加は心血管リスクの18%増加(HR:1.18、95%CI:1.08~1.29)、1日カリウム排泄量の1,000mg増加は心血管リスクの18%低下(0.82、0.72~0.94)と関連していた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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