高血圧患者以外でもナトリウム摂取量削減に応じて血圧低下/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/09

 

 食事からのナトリウム(塩分)摂取量の削減による血圧の低下には、強力な用量反応関係がみられ、降圧効果は高齢者や非白人、血圧が高い集団で大きいことが、オーストラリア・シドニー大学のLiping Huang氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2020年2月25日号に掲載された。ナトリウム摂取量が多いほど血圧が上昇することは、広範なエビデンスによって示されている。一方、高血圧患者では、血圧に及ぼすナトリウム摂取量削減の効果は明らかだが、他の集団での効果は不確実であり、介入期間の影響も十分には解明されていないという。

ナトリウム摂取量の削減と血圧変動の関係を評価

 研究グループは、食事からのナトリウム摂取量の削減と血圧変動の関係を評価し、介入期間の影響を探索する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(研究助成は受けていない)。

 2019年1月21日現在、医学データベースに登録された論文を検索し、関連論文の引用文献を参照した。対象は、24時間尿中ナトリウム排泄量を用いて、ナトリウム摂取量を削減した群と、通常または高摂取量の群(対照)を比較し、収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)のデータを提示している無作為化試験とした。年齢18歳未満、妊婦、慢性腎臓病や心不全の患者を対象とする試験は除外された。

 3人のレビュアーのうち2人が独立に、データの適格性を評価した。1人のレビュアーがすべてのデータを抽出し、他の2人のレビュアーがデータの正確度を評価した。変量効果によるメタ解析とサブグループ解析を行い、メタ回帰分析を実施した。

ナトリウム摂取量削減による血圧の低下を多様な集団で観察

 133件の試験に参加した1万2,197例が主解析に含まれた。

 全体として、ナトリウム摂取量の削減により、24時間尿中ナトリウム排泄量は平均130mmol(95%信頼区間[CI]:115~145、p<0.001)減少し、SBPは4.26mmHg(3.62~4.89、p<0.001)、DBPは2.07mmHg(1.67~2.48、p<0.001)、それぞれ有意に低下した。

 メタ解析や単変量メタ回帰分析では、ナトリウム摂取量削減と血圧の間に明確な関係性は認められなかった。一方、多変量メタ回帰分析を行ったところ、24時間尿中ナトリウム排泄量が50mmol減少するごとに、SBPは1.10mmHg(95%CI:0.66~1.54、p<0.001)、DBPは0.33mmHg(0.04~0.63、p=0.03)低下した。

 ナトリウム摂取量削減による血圧の低下は、高血圧や非高血圧を含む多様な集団で観察された。また、24時間尿中ナトリウム排泄量の低下が同じ場合は、高齢者、非白人、ベースラインのSBPが高い集団でSBP低下の程度が大きかった。

 介入期間が15日未満の試験では、24時間尿中ナトリウム排泄量の50mmolの減少により、SBPが1.05mmHg(95%CI:0.40~1.70、p=0.002)低下したが、これは介入期間の長い試験の降圧効果(2.13mmHg低下、95%CI:0.85~3.40)の半分にも達していなかった(p=0.002)。また、介入期間とDBP低下の関連には、一貫性のあるパターンはみられなかった。

 著者は、「ナトリウム摂取量の削減は、きわめて広範な集団に降圧をもたらし、削減の程度と血圧低下の程度には強力な用量反応関係が認められた」とまとめ、「介入期間が短い試験では、ナトリウム摂取量削減の血圧への影響が過小評価されている」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)

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