ヒスタミンH1受容体拮抗薬(H1AH)による治療で、効果不十分な成人および青年期(12歳以上)の慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者において、ligelizumabはプラセボに対する優越性を示したが、オマリズマブに対しては示さなかった。ドイツ・Urticaria Center of Reference and Excellence(UCARE)のMarcus Maurer氏らが、ligelizumabの有効性と安全性を評価した2つの第III相無作為化二重盲検比較試験「PEARL-1試験」および「PEARL-2試験」の結果を報告した。CSU患者の多くが、現在使用可能な治療ではその症状を完全に管理することができない。ligelizumabは、第IIb相用量設定試験ではH1AHで効果不十分なCSU患者において、蕁麻疹症状を改善することが報告されていた。Lancet誌オンライン版2023年11月23日号掲載の報告。
2つの第III相試験で、ligelizumab 72mg、120mg、オマリズマブ300mgまたはプラセボに割り付け
PEARL-1試験およびPEARL-2試験は、同一デザインの無作為化二重盲検実薬およびプラセボ対照並行群間比較試験で、46ヵ国347施設において実施された。
研究グループは、H1AHで効果不十分な中等度から重度の成人および青年期(12歳以上)のCSU患者を、ligelizumab 72mg、ligelizumab 120mg、オマリズマブ300mg、またはプラセボ群に3対3対3対1の割合で無作為に割り付け、4週間ごとに52週間投与した。プラセボ群では、24週目からligelizumab 120mgに切り替えた。
主要アウトカムは、12週時の週間蕁麻疹活動性スコア(UAS7)のベースラインからの変化量(CFB)で、試験薬を1回以上投与された成人患者を有効性解析対象集団として、無作為化された投与群に従って解析した。安全性は、試験薬を1回以上投与された青年期を含むすべての患者を安全性解析対象集団として、実際に投与された試験薬について評価した。
ligelizumabの優越性、対プラセボでは示すも、対オマリズマブでは示されず
2018年10月17日~2021年10月26日に、2試験で合計2,057例が無作為に割り付けられた(ligelizumab 72mg群614例、ligelizumab 120mg群616例、オマリズマブ群618例、プラセボ群209例)。患者背景は、1,480例(72%)が女性、577例(28%)が男性で、両試験のベースラインでの平均UAS7は29.37~31.10であった。
12週時のUAS7のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)のプラセボ群との差は、PEARL-1試験およびPEARL-2試験において、それぞれligelizumab 72mg群が-8.0(95%信頼区間[CI]:-10.6~-5.4)、-10.0(-12.6~-7.4)、ligelizumab120mg群が-8.0(-10.5~-5.4)、-11.1(-13.7~-8.5)であり、両試験においてligelizumab 72mg群および120mg群のプラセボ群に対する優越性が示された。
一方、12週時のUAS7のベースラインからの変化量(最小二乗平均値)のオマリズマブ群との差は、PEARL-1試験およびPEARL-2試験において、それぞれligelizumab 72mg群で0.7(95%CI:-1.2~2.5)、0.4(-1.4~2.2)、ligelizumab 120mg群で0.7(-1.1~2.5)、-0.7(-2.5~1.1)であり、ligelizumab 72mg群および120mg群のオマリズマブ群に対する優越性は示されなかった。
ligelizumab、オマリズマブのいずれも、新たな安全性シグナルは認められなかった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)