早期乳がん、術前MRIで術後放射線療法の省略を判定可能?(PROSPECT)/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/18

 

 MRI検査で単病巣性の乳がん(unifocal breast cancer)が認められた病状良好な女性患者は、術後の放射線療法を安全に省略できることが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のGregory Bruce Mann氏らが、多施設共同前向き2アーム非無作為化試験「PROSPECT試験」の結果を報告した。早期乳がんに対する術後の乳房放射線治療は、標準的な乳房温存療法として行われているが、多くの女性にとって過剰治療となる可能性が示唆されている。また、乳房MRIは、局所腫瘍の最も感度の高い評価法である。本試験は、MRIと病理学的所見の組み合わせによって、放射線治療を安全に回避可能な局所乳がんを有する女性の特定が可能であることを見極める目的で行われた。Lancet誌オンライン版2023年12月5日号掲載の報告。

単病巣性の乳がんで術後のpT1N0またはN1miは放射線治療省略、5年後IIRRを評価

 PROSPECT試験は、術前のMRI検査と術後の腫瘍の病理学的所見により選択した患者を対象とした、放射線治療省略に関する試験であり、オーストラリアの大学病院4施設で行われた。cT1N0非トリプルネガティブ乳がんで50歳以上の女性を適格とした。

 適格となった女性のうちMRIで単病巣性の乳がんが認められた患者は、乳房温存手術(BCS)を受け、pT1N0またはN1miの場合は放射線治療が省略された(グループ1)。それ以外の患者には、MRIで検出された他のがん切除など標準治療が行われた(グループ2)。また、全患者が薬物療法を受けた。

 主要評価項目は、グループ1の5年後の同側浸潤性乳がん再発率(IIRR)とした。

 主要解析は、グループ1で100人目の患者の追跡調査が5年に到達した後に行われた。本試験の鑑別法(PROSPECT pathway)により治療を受けた患者の質調整生存年(QALY)と費用対効果についても分析した。

5年後IIRRは1.0%、再発1件目は4.5年時点

 2011年5月17日~2019年5月6日に、乳がん患者443例がMRI検査を受けた。年齢中央値は63.0歳。MRI検査によって48例(11%)で、指標となるがんとは別に61個の潜在的な悪性病変が検出された。

 放射線治療を省略したBCSを受けたグループ1(201例)において、5年後のIIRRは1.0%(95%信頼区間[CI]上限値:5.4%)であった。グループ1の局所再発は、1件目が4.5年時点で、2件目が7.5年時点で報告された。

 グループ2(242例)では、9例が乳房切除術を受けており(コホート全体の2%)、5年IIRRは1.7%(95%CI上限値6.1%)であった。

 コホート全体で報告された唯一の遠隔転移は、指標となるがんとは遺伝子学的に異なるものであった。

 PROSPECT pathwayにより、QALYが0.019(95%CI:0.008~0.029)増加し、患者1例当たり1,980オーストラリアドル(95%CI:1,396~2,528)(953ポンド[672~1,216])の節減効果が認められた。

(ケアネット)