強迫症患者に多い/少ない死因は?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/07

 

 強迫症(OCD)患者はOCD非罹患者と比較して、さまざまな自然死因による死亡のリスクが上昇しており、その多くは非伝染性で予防可能なものである一方で、自殺や事故といった外因死の寄与が大きく、新生物による死亡リスクはむしろ低いことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のLorena Fernandez de la Cruz氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月17日号で報告された。

スウェーデンの2つのコホートで、罹患者と非罹患者を比較

 研究グループは、スウェーデンのOCD患者における全死因死亡と原因別死亡のリスクの評価を目的に、2つのコホートでOCD罹患者と非罹患者の比較を行った(Swedish Research Council for Healthなどの助成を受けた)。

 住民ベースのコホートには、1対10の割合で、性別、出生年、居住地でマッチさせたOCD患者6万1,378人と非罹患者61万3,780人を含めた。また、同胞コホートは、OCD患者3万4,085人とその非罹患同胞4万7,874人であった。これらのコホートを、1973年1月1日~2020年12月31日に、中央値8.1年間追跡した。

全死因、自然死因、非自然死因による死亡ともに高リスク

 住民ベースのコホートでは、研究期間中にOCD患者のうち4,787人(粗死亡率8.1人/1,000人年)と非罹患者のうち3万619人(粗死亡率5.1人/1,000人年)が死亡した。

 出生年、性別、居住地、移住者か否か(スウェーデン生まれか外国生まれか)、社会人口統計学的変数(最新の学歴、婚姻状況、世帯収入)で補正した層別化Cox比例ハザードモデルによる解析では、非罹患者と比較してOCD患者は全死因死亡(ハザード比[HR]:1.82、95%信頼区間[CI]:1.76~1.89)、自然死因による死亡(1.31、1.27~1.37)、非自然死因による死亡(3.30、3.05~3.57)のリスクが高かった。

同胞コホートでも同様の結果

 自然死因のうち、内分泌・栄養・代謝疾患(HR:1.54、95%CI:1.28~1.86)、精神・行動障害(1.63、1.42~1.87)、神経系(1.20、1.01~1.43)、循環器系(1.36、1.28~1.43)、呼吸器系(1.69、1.51~1.90)、消化器系(1.20、1.01~1.43)、泌尿生殖器系(1.52、1.15~2.02)の疾患などによる死亡リスクが、OCD患者で高かった。

 一方、新生物による死亡リスクは、非罹患者に比べOCD患者で低かった(HR:0.87、95%CI:0.80~0.94)。また、非自然死因死亡では、OCD患者は自殺(4.90、4.40~5.46)のリスクが最も高く、次いで事故(1.92、1.68~2.19)の順であった。これらの結果は、精神疾患の併存や家族関連の交絡因子で補正しても強固に維持されていた。

 同胞コホートの解析では、全死因死亡(HR:1.85、95%CI:1.67~2.03)、自然死因死亡(1.51、1.35~1.68)、非自然死因死亡(3.10、2.52~3.80)のリスクは、いずれもOCD患者で高く、住民ベースコホートの結果と類似していた。

 著者は、「OCD患者における致死的なアウトカムのリスクを低減するには、より優れたサーベイランスや予防策、早期介入戦略を実施する必要がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)