ニーマン・ピック病C型へのN-アセチル-L-ロイシン、神経学的状態を改善/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/08

 

 ニーマン・ピック病C型(NPC)の患者において、リソソームと代謝の機能障害改善が期待されるN-アセチル-L-ロイシン(NALL)による12週間の治療はプラセボと比較し、神経学的状態を改善したことが、スイス・ベルン大学のTatiana Bremova-Ertl氏らが、60例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検クロスオーバー試験の結果で示された。NPCは、進行性、衰弱性、早期致死性の常染色体劣性遺伝性リソソーム蓄積症(ライソゾーム病)で、発症頻度は10万人に1人(本邦では12万に1人)と報告される希少疾病である。現行では、ミグルスタットによる薬物治療があるが進行抑制に限定され、欧州連合(EU)と本邦を含むいくつかの国では承認されているが、米国では未承認である。NALLの有効性と安全性を評価した今回の結果について著者は、「さらなる検討で長期の有効性を確認する必要がある」とまとめている。NEJM誌2024年2月1日号掲載の報告。

12週投与後の小脳性運動失調評価法(SARA)の合計スコアをプラセボと比較

 研究グループは、4歳以上の遺伝学的に確認されたNPC患者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方にはNALLを12週間投与後にプラセボを12週間投与、もう一方にはプラセボを12週間投与し、その後NALLを12週間投与した。

 NALLまたはプラセボは、体重35kg未満の4~12歳には体重ベースの用量(2~4g/日)を1日2~3回、体重35kg以上の4~12歳および13歳以上には4g/日を1日3回(朝2g、昼1g、夜1g)経口投与した。

 主要エンドポイントは、小脳性運動失調評価法(SARA:0~40で数値が低いほど神経学的状態が良好)の合計スコアだった。副次エンドポイントは、臨床全般印象度改善度(CGI-I)スコア、脊髄小脳性運動失調症機能指数(SCAFI)スコア、modified Disability Rating Scale(mDRS)スコアなどだった。

 各群のクロスオーバーデータを用いて、NALL群とプラセボ群の比較を行った。

合計スコア変化量、NALL群-1.97ポイントvs.プラセボ群-0.60ポイント

 5~67歳の患者60例が登録された。主要エンドポイントであるSARAのベースライン時の平均合計スコアは、NALL初回投与前(60例)が15.88、プラセボ初回投与前(59例、1例はプラセボ投与なし)が15.68だった。

 SARA合計スコアのベースラインからの平均変化量(±SD)は、NALL 12週間投与後は-1.97±2.43ポイント、プラセボ12週間投与後は-0.60±2.39ポイントだった(最小二乗平均差:-1.28ポイント、95%信頼区間:-1.91~-0.65、p<0.001)。

 副次エンドポイントについては、概して主要解析の結果を支持するものだったが、それらの結果について、多重比較補正は事前に規定していなかった。有害事象の発現率はNALLとプラセボで同等で、重篤な治療関連有害事象は認められなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)