新生児の緊急挿管、ビデオ喉頭鏡vs.直接喉頭鏡/NEJM

新生児の緊急挿管において、ビデオ喉頭鏡は直接喉頭鏡よりも初回挿管成功率が高いことが示された。アイルランド・National Maternity HospitalのLucy E. Geraghty氏らが、単施設無作為化臨床試験の結果を報告した。新生児に気管挿管を繰り返し試みることは有害事象の増加と関連しているが、臨床医が喉頭鏡で気道を直接観察する場合、初回挿管に成功する割合は半分以下とされている。ビデオ喉頭鏡は、ブレードの先端にカメラが付いており気道の様子が画面に映し出されることから、成人および小児では直接喉頭鏡を使用した場合より初回挿管成功率が高いことが報告されているが、新生児におけるビデオ喉頭鏡の有効性については不明であった。NEJM誌オンライン版2024年5月5日号掲載の報告。
在胎週数不問の新生児への挿管、初回成功率を比較
研究グループは、分娩室または新生児集中治療室(NICU)で挿管を受ける新生児(在胎週数は不問)を、在胎週数(32週未満または32週以上)で層別化してビデオ喉頭鏡群または直接喉頭鏡群に無作為に割り付けた。主要アウトカムは、呼気二酸化炭素検出により判定した初回の挿管成功で、結果は割合(%)で示し、カイ二乗検定を用いて比較した。副次アウトカムは、挿管中の最低酸素飽和度、最低心拍数などであった。
2021年9月4日~2023年11月17日に226例の新生児が無作為化され、このうち臨床的改善が認められ挿管がされなかった1例、および最終的に同意が得られなかった11例を除く214例が解析対象となった。
214例のうち、63例(29%)は分娩室で、151例(71%)はNICUで挿管された。
初回挿管成功率はビデオ喉頭鏡74%、直接喉頭鏡45%
初回挿管成功率は、ビデオ喉頭鏡群が107例中79例(74%、95%信頼区間[CI]:66~82)、直接喉頭鏡群が107例中48例(45%、35~54)であった(p<0.001)。挿管成功までの試行回数中央値は、ビデオ喉頭鏡群1回(95%CI:1~1)、直接喉頭鏡群2回(1~2)であった。初回挿管成功までの時間中央値は、それぞれ61秒(95%CI:52~66)、51秒(43~60)。
また、初回挿管中の最低酸素飽和度の中央値は、ビデオ喉頭鏡群74%(95%CI:65~78)、直接喉頭鏡群68%(95%CI:62~74)であり、最低心拍数の中央値は、それぞれ153回/分(95%CI:148~158)、148回/分(140~156)であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
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