脳梗塞患者、血管イベント再発予防に長期コルヒチンは有益か/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/20

 

 非心原性脳塞栓症患者の血管イベントの再発予防のための長期コルヒチン投与の有効性と安全性を評価した無作為化試験「CONVINCE試験」において、統計学的に有意な有益性は示されなかったことを、アイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのPeter Kelly氏らが報告した。長期コルヒチンによる抗炎症療法は、冠動脈疾患における血管イベントの再発を予防することが示されている。研究グループは今回、一般的に動脈硬化によって引き起こされる冠動脈疾患とは異なり、多様なメカニズムによって引き起こされる虚血性脳卒中後の再発予防についても長期コルヒチンは有効であるとの仮説を立て検証した。試験の結果では再発予防に関する有益性は認められなかったが、ベースラインで同程度であったCRP値が28日時点で投与群において有意に低下したことが認められた。著者は、「抗炎症療法についてさらなる無作為化試験を行うことを支持する新たなエビデンスが論拠として示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2024年6月7日号掲載の報告。

長期コルヒチン+通常ケアvs.通常ケア単独

 CONVINCE試験は無作為化並行群間非盲検エンドポイント盲検化にて、長期コルヒチン(1日1回0.5mgを経口投与)+ガイドラインベースの通常ケアと通常ケア単独を比較した。被験者は、非重症の非心原性虚血性脳卒中またはハイリスク一過性脳虚血発作(TIA)の入院患者を適格とした。

 主要エンドポイントは、初回再発の致死的または非致死的虚血性脳卒中、心筋梗塞、心停止または不安定狭心症による入院(入院ユニットへの収容または救急外来受診により少なくとも24時間滞在[入院または退院の時間が不明な場合は暦日の変更]した場合と定義)の複合とした。有意性のp値は0.048であった。データモニタリング委員会が2つの事前に決められた中間解析で調整したものであり、運営委員会と治験担当医師は盲検化されたままであった。

統計学的有意差は認められず、一方で抗炎症の新たな知見を確認

 2016年12月19日~2022年11月21日に3,154例が無作為化された。最終フォローアップは2024年1月31日。COVID-19パンデミックのため予算が制約を受け、当初予想していたアウトカム数(計画では367件)が得られる前に試験は終了した。

 10例がデータ解析への同意を取り下げたため、ITT解析集団は残る3,144例(コルヒチン+通常ケア群1,569例、通常ケア単独群1,575例)で構成された。

 主要エンドポイントは338例で発生した。内訳は、コルヒチン+通常ケア群153/1,569例(9.8%)、通常ケア単独群185/1,575例(11.7%)であった(発生率は100人年当たり3.32 vs.3.92、ハザード比[HR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.68~1.05、p=0.12)。

 ベースラインではCRP値について両群間に差はみられなかったが(両群とも中央値3mg/L)、28日時点で低下し、コルヒチン+通常ケア群のほうが通常ケア単独群よりも有意に大きく低下した(p=0.0007)。さらに、1年時点(p=0.0005)、2年時点(p=0.0002)、3年時点(p=0.02)でも同様に有意差が認められた。

 重篤な有害事象の発現は両群で同程度であった。

(ケアネット)