脳卒中後の血圧コントロール不良、看護師電話管理で改善/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/07/16

 

 コントロール不良の高血圧で主に低所得の黒人およびヒスパニックの脳卒中生存者では、家庭血圧遠隔モニタリング(HBPTM)単独と比較して、電話を用いた看護師による患者管理(NCM)をHBPTMに追加することで、1年後の収縮期血圧(SBP)が有意に低下し、2年後の脳卒中の再発には差がないことが、米国・ニューヨーク大学ランゴーン医療センターのGbenga Ogedegbe氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年7月2日号で報告された。

ニューヨーク市8施設で無作為化試験

 本研究は、ニューヨーク市の合計8つの脳卒中センターと外来診療施設で実施した臨床ベースの無作為化試験であり、2014年4月~2017年12月に参加者を登録した(米国国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]の助成を受けた)。

 年齢18歳以上、中等度以下の機能障害(修正Rankin尺度≦3)を有し、退院後1ヵ月以上が経過した脳卒中で、コントロール不良の高血圧(スクリーニング受診時に3回測定したSBPの平均値が≧130mmHg)を呈する黒人またはヒスパニックの患者450例を登録した。HBPTM+NCM群に224例、HBPTM単独群に226例を無作為に割り付けた。

 両群の患者に遠隔モニタリング機能を備えた自動家庭血圧測定器が支給され、患者は週に12回、12ヵ月間にわたり測定結果を医師に送信した。HBPTM単独群には、米国国立衛生研究所(NIH)が作成した脳卒中と高血圧管理に関する冊子が配布され、HBPTM+NCM群は、患者管理の訓練を受けた看護師から、カウンセリングのための電話を12ヵ月間に20回受けた。

 主要アウトカムは、12ヵ月の時点におけるSBPの変化量および24ヵ月時の脳卒中の再発とした。

SBP変化量の群間差-8.1mmHg

 ベースラインの全体の平均(SD)年齢は61.7(11.0)歳、51%(231例)が黒人、44%(200例)が女性で、31%(137例)が3つ以上の併存疾患を有し、72%(情報が得られた324例中234例)が世帯年収2万5,000ドル未満であった。

 SBPは両群とも有意に改善した。HBPTM単独群では、ベースラインの147.1mmHgから12ヵ月時には141.3mmHgへと5.8mmHg(95%信頼区間[CI]:3.7~7.9)低下したのに対し、HBPTM+NCM群は、148.3mmHgから133.2mmHgへと15.1mmHg(13.0~17.2)低下し、変化量の群間差は-8.1mmHg(95%CI:-11.2~-5.0)とHBPTM+NCM群で有意に良好であった(p<0.001)。

 24ヵ月時までに、脳卒中の再発は、HBPTM+NCM群が9例(4.0%)、HBPTM単独群も9例(4.0%)で発生した(p>0.99)。再発例の3分の2は虚血性だった。

130/80mmHg未満、140/90mmHg未満の達成はNCM追加群で良好

 血圧コントロールは経時的に改善し、130/80mmHg未満の達成(p<0.001)および140/90mmHg未満の達成(p=0.002)はいずれも、HBPTM単独群に比べHBPTM+NCM群で有意に優れた。

 また、血圧遠隔モニタリング装置を含む患者1例当たりの費用は、NCM+HBPTM群が1,594.03ドル、HBPTM単独群は938.77ドルであった。

 著者は、「併存疾患の多い低所得の黒人およびヒスパニックの脳卒中生存者の管理では、NCMで強化した遠隔医療プログラムが有効であることが示唆されるが、長期的な臨床アウトカム、費用対効果、一般化可能性、およびその標準治療としての普及について解明するにはさらなる研究を要する」としている。

(医学ライター 菅野 守)