動機付け面接を含む行動介入は、総身体活動を増加させるがエビデンスの確実性は低く、中高強度身体活動(MVPA)の増加と座位時間の減少効果についてはエビデンスの確実性が非常に低かった。また、介入の効果は時間の経過と共に低下し、1年を超えて身体活動を増加させる動機付け面接の有用性を示すエビデンスは確認されなかった。英国・オックスフォード大学のSuFen Zhu氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。動機付け面接は患者を中心とした行動変容アプローチで、少数の臨床試験のこれまでのメタ解析では、慢性の健康障害を有する人々においては比較対照群より優れていることが報告されていたが、これらは効果を過大評価している可能性があった。BMJ誌2024年7月10日号掲載の報告。
無作為化比較試験97件、計2万7,811例についてメタ解析
研究グループは、7つのデータベース(CINAHL、Embase、AMED、Medline、PsycINFO、SPORTDiscus、Cochrane Central Register of Controlled Trials)を検索し、成人を対象に身体活動を支援または促進する動機付け面接を含む行動介入(介入群)と、含まない介入(対照群)を比較した無作為化比較試験について、2023年3月1日までに発表された英語の論文を特定した。
評価項目は、総身体活動、MVPAおよび座位時間の変化の差であった。
評価者2人がデータ抽出と検証を行い、独立してバイアスリスクを評価した。試験対象集団の特性、介入の構成要素、比較群、および試験のアウトカムを要約。ランダム効果メタ解析モデルを用いて、全体の主要効果について標準化平均差(SMD)を95%信頼区間(CI)と共に算出した。追跡期間、比較対照の種類、介入期間、参加者の疾患や健康状態に基づく効果の差も調査した。
計97件の無作為化比較試験(参加者:計2万7,811例、有効性が検討された介入:105件)に関する129報の論文が選定された。
動機付け面接を含む介入は身体活動に好影響もエビデンスの確実性は低い
介入群は対照群と比較して、総身体活動の有意な増加(SMD:0.45、95%CI:0.33~0.65、1,323歩/日の増加に相当、エビデンスの確実性:低)、MVPAの有意な増加(SMD:0.45、95%CI:0.19~0.71、95分/週の増加に相当、エビデンスの確実性:非常に低)、座位時間の有意な減少(SMD:-0.58、95%CI:-1.03~-0.14、-51分/日に相当、エビデンスの確実性:非常に低)が示された。しかし、同様の強度を有する他の行動介入を含む対照群と比較した場合、差は認められなかった。
また、効果の大きさは時間の経過と共に減少し、1年を超える動機付け面接が有効であるというエビデンスはなかった。
ほとんどの介入は、特定の健康状態の患者を対象としており、一般集団において動機付け面接がMVPAの増加や座位時間の減少をもたらすというエビデンスは不足していた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)