1日の歩数と全死因死亡および心血管疾患(CVD)の発症との関連を調べた結果、3,000歩弱という少ない歩数であっても有意にそれらのリスクが低減していたことを、オランダ・ラドバウド大学医療センターのNiels A. Stens氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2023年9月6日号の報告。
健康の維持・改善のためにウオーキングなどの有酸素運動が勧められることが多いが、最小および至適な1日の歩数は依然として不明である。そこで、研究グループは一般集団における歩数と健康アウトカムとの関連を評価するためにメタ解析を行った。MEDLINEとEMBASEを用いてデータベース開設から2022年10月まで検索し、歩数計や加速度計などで客観的に測定した1日の歩数と、全死因死亡またはCVDの発症を評価した縦断研究を特定した。解析には一般化最小二乗法とランダム効果モデルが用いられた。
主な結果は以下のとおり。
・メタ解析には12件の研究から11万1,309人を含めた。
・2,000歩/日(参考:約20分の歩行)の集団と比べて、有意なリスク減少が認められたのは、全死因死亡では2,517歩/日(調整後ハザード比[aHR]:0.92、95%信頼区間[CI]:0.84~0.999)、CVD発症では2,735歩/日(aHR:0.89、95%CI:0.79~0.999)であった。
・歩数が増えるほど全死因死亡およびCVDリスクは非線形に低下し、至適歩数はそれぞれ8,763歩/日(aHR:0.40、95%CI:0.38~0.43)および7,126歩/日(aHR:0.49、95%CI:0.45~0.55)であった。
・総歩数に関係なく、歩数速度が速いほど全死因死亡のリスクが低下した。
これらの結果より、研究グループは「1日当たり約2,600歩および約2,800歩という少ない歩数でも全死因死亡とCVD発症に大きなメリットが得られ、それぞれ約8,800歩および約7,200歩まで段階的にリスクが低減した。歩数というわかりやすい指標を身体活動の基準に応用することができる可能性がある」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)