レナカパビル年2回皮下投与によりHIV感染の発生は認められず、バックグラウンドおよびエムトリシタビン/テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩(F/TDF)と比較してHIV感染の発生率を100%低下させることが、南アフリカ・ケープタウン大学のLinda-Gail Bekker氏らPURPOSE 1 Study Teamによる第III相無作為化二重盲検実薬対照比較試験「PURPOSE 1試験」において示された。シスジェンダー女性におけるHIV曝露前予防は、予防薬の服薬、服薬アドヒアランスおよび服薬継続に限界があり、新たな選択肢の開発が望まれていた。NEJM誌オンライン版2024年7月24日号掲載の報告。
16~25歳のシス女性5,368例をレナカパビル群、F/TAF群、F/TDF群に無作為化
PURPOSE 1試験は、最近の試験で曝露前予防(PrEP)を受けていない思春期および若年女性のHIV罹患率が100人年当たり3.5以上である南アフリカおよびウガンダで実施された。
研究グループは、PrEPを用いておらず、HIV感染状況が不明で過去3ヵ月以内にHIV検査を受けていない16~25歳のシスジェンダー女性をスクリーニングし、中央検査にてHIV陰性が確認された女性を、レナカパビル群(927mgを26週間ごとに2回皮下投与、プラセボ経口投与)、F/TAF群(エムトリシタビン200mgとテノホビル・アラフェナミド25mgを1日1回経口投与、プラセボ皮下投与)、F/TDF群(エムトリシタビン200mgとTDF 300mgを1日1回経口投与、プラセボ皮下投与)に、2対2対1の割合で無作為に割り付けた。
主要エンドポイントは、HIV感染の発生であった。有効性の主要解析は、スクリーニングでHIV陽性が確認された女性集団に基づくHIV感染発生率をバックグラウンドHIV感染発生率として、レナカパビル群およびF/TAF群のHIV感染発生率と比較した。また、有効性の副次解析として、レナカパビル群およびF/TAF群のHIV感染発生率をF/TDF群と比較した。
2021年8月30日~2023年8月31日に、8,402例がスクリーニングを受け、中央検査を実施した8,094例中504例(6.2%)がHIV感染と診断され、うち92例(18.3%)が最近の感染であった。8,094例におけるバックグラウンドHIV感染発生率は、100人年当たり2.41(95%信頼区間[CI]:1.82~3.19)であった。
8,094例のうちHIV陰性で適格基準を満たした5,368例が無作為化された。このうち試験薬が少なくとも1回投与され、無作為化日にHIV感染が判明した症例を除く5,338例が有効性の解析対象となった(レナカパビル群2,134例、F/TAF群2,136例、F/TDF群1,068例)。
レナカパビル群でHIV感染の発生はゼロ、F/TDF群よりHIV予防効果が有意に高い
解析対象5,338例のうち、55例のHIV感染の発生が観察された。レナカパビル群は0例(発生率:0/100人年、95%CI:0.00~0.19)、F/TAF群は39例(2.02/100人年、1.44~2.76)、F/TDF群は16例(1.69/100人年、0.96~2.74)であった。
レナカパビル群のHIV感染発生率は、バックグラウンド(発生率比:0.00、95%CI:0.00~0.04、p<0.001)およびF/TDF群(0.00、0.00~0.10、p<0.001)と比較して100%減少した。
F/TAF群のHIV感染発生率は、バックグラウンドと有意差はなく(発生率比:0.84、95%CI:0.55~1.28、p=0.21)、F/TDF群との間でHIV感染発生率に意味のある差は確認されなかった(発生率比:1.20、95%CI:0.67~2.14)。F/TAFとF/TDFの服薬アドヒアランスは低かった。
安全性に関する懸念は認められなかった。注射部位反応はレナカパビル群(68.8%)でF/TAF群およびF/TDF群のプラセボ投与(併合で34.9%)より多く発現した。レナカパビル群では4例(0.2%)が注射部位反応により投与を中止した。
(ケアネット)