シスジェンダー女性におけるHIV曝露前予防のためのエムトリシタビン/テノホビル・ジソプロキシルフマル酸塩(F/TDF PrEP)について、市販後臨床試験11件のプール解析において全体のHIV罹患率は100人年当たり0.72であったことが示された。米国・アラバマ大学バーミンガム医学校のJeanne Marrazzo氏らによる検討結果で、F/TDF PrEPのアドヒアランスが「一貫して毎日」や「高い(週4~6回服用)」人は、HIV罹患率が非常に低率であったことも示されたという。F/TDF PrEPについては、アドヒアランスが高い(週4回以上)男性と性行為を行うシスジェンダーの男性において、非常に有効であることが示されている。一方で、シスジェンダー女性におけるF/TDF PrEPに関するリアルワールドの有効性およびアドヒアランスについては、明確には特徴付けがされていなかった。JAMA誌オンライン版2024年3月1日号掲載の報告。
11件のF/TDF PrEP市販後臨床試験データを統合解析
研究グループは、シスジェンダー女性におけるF/TDF PrEPの有効性、および有効性とアドヒアランスとの関連性を明らかにするため、2012~20年に6ヵ国で行われた11件のF/TDF PrEP市販後臨床試験のデータを統合し解析した。データには、15~69歳のシスジェンダー女性6,296例が含まれた。
F/TDFは、1日1回経口投与で処方された。主要アウトカムはHIV罹患率とし、客観的測定(乾燥血液スポット中のテノホビル二リン酸濃度または血漿中のテノホビル濃度、288例)および主観的測定(錠剤キャップ電子的モニタリング、錠剤数、自己申告および試験報告のアドヒアランススケール、2,954例)によるアドヒアランスレベルを、集団軌跡モデルを用いて分類し、評価(サブグループ分析)した。
全体のHIV罹患率は100人年当たり0.72、アドヒアランスが高い群ほど低率
被験者6,296例を国別にみた内訳は、ケニア46%、南アフリカ共和国28%、インド21%、ウガンダ共和国2.9%、ボツワナ共和国1.6%、米国0.8%であった。試験全体のPrEP開始時の平均年齢は、25(SD 7)歳で、25歳未満の若年被験者が61%を占めていた。
全体のHIV罹患率は、100人年当たり0.72(95%信頼区間[CI]:0.51~1.01、6,296例のうちHIVと診断されたのは32例)であった。
アドヒアランスレベル群は、一貫して毎日(週7回服用)、一貫して高い(週4~6回服用)、高かったが低下してきている(平均週4~6回服用していたが、その後に低下)、一貫して低い(週2回未満の服用)の4群が特定された。
このうち、一貫して毎日服用していた498例ではHIVに感染した人はいなかった。アドヒアランスが一貫して高かった658例では、HIVに感染した人は1例だけだった(罹患率0.13/100人年[95%CI:0.02~0.92])。アドヒアランスが高かったが、その後に低下していた1,166例の罹患率は0.49/100人年(0.22~1.08)、一貫して低かった632例では同1.27/100人年(0.53~3.04)であった。
(ケアネット)