AI搭載超音波デバイス、妊娠週数を正確に推定/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/08/16

 

 超音波検査の訓練を受けていない初心者でも、AI搭載超音波デバイスを用いた低コストのポイント・オブ・ケア検査なら、認定超音波検査技師が高性能機器を用いて行う標準的な測定と同等の精度で、妊娠14~27週の妊娠週数(GA)が推定できることを、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJeffrey S. A. Stringer氏らが前向き診断精度研究の結果で報告した。GAの正確な評価は適切な妊娠ケアに不可欠であるが、多くは超音波検査が必要であり、医療資源の少ない環境では利用できない場合があった。JAMA誌オンライン版2024年8月1日号掲載の報告。

初心者によるAI搭載超音波デバイスと、認定技師による高性能機器でのGA推定を比較

 研究グループは、2022年7月27日~2023年4月10日に、ザンビアのルサカおよびノースカロライナのチャペルヒルにおいて、健康で単胎妊娠の異常のない妊娠初期女性400例を登録し、有資格の超音波検査技師が経膣頭殿長測定によりGAの「基準値」を確定した。

 参加者には、妊娠14週0日~27週6日の主要評価期間を含む観察期間中に、無作為に割り当てられた時期に受診してもらい、初心者がAI搭載超音波デバイスを用いて母体の腹部を盲目的にスキャンするとともに(試験検査)、資格のある超音波検査技師が高性能機器を使用して胎児の測定を実施した(標準検査)。

 主要アウトカムは、試験検査と標準検査の平均絶対誤差(MAE)とした。各検査の推定値を事前に確定されたGAと比較して算出し、その差が事前に規定した±2日のマージン内に収まる場合は同等とみなした。

MAEの差は0.2日であり、精度は同等

 主要評価期間(妊娠14~27週)において、MAE(SE)はAI搭載超音波デバイス3.2(0.1)日、標準検査3.0(0.1)日、群間差0.2日(95%信頼区間:-0.1~0.5)であり、事前に規定された同等性の基準を満たした。また、GAの「基準値」との差が7日以内の割合は、AI搭載超音波デバイス90.7%、標準検査92.5%であり、同等であった。

 結果は、ザンビアとノースカロライナのコホート、高BMIグループなど、サブグループで一貫していた。

 なお、本研究は一般的な妊婦集団を対象としており、高血圧、糖尿病、高度肥満などのハイリスク妊婦におけるAI搭載超音波デバイスの性能評価を目的としていないこと、2ヵ国3施設で実施したものでありより多くの地理的場所を含めることで一般化の可能性が改善される可能性があること、胎児の異常が判明した参加者は除外されていること、などを研究の限界として挙げたうえで、「今回の結果は、医療資源の少ない環境での産科ケアに直接的な影響を及ぼすものであり、すべての妊婦のGAを超音波検査で推定するという世界保健機関の目標の達成を前進させるものである」とまとめた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)