体外受精、タイムラプスイメージングシステムは有益か/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/08/22

 

 体外受精(in-vitro fertilisation:IVF)あるいは顕微授精(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)の治療を受ける女性において、胚の培養および選択にタイムラプスイメージングシステムを用いても、これを用いない標準治療と比較して生児出産率の有意な上昇は認められなかった。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPriya Bhide氏らが、多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を報告した。タイムラプスイメージングシステムの使用は、胚を培養器から取り出さずundisturbedな培養状態で評価ができること、異常な胚の発育イベントを見逃さない利点があり、胚の選択を改善すると考えられること、およびその両者によってIVFやICSI治療を改善する可能性があるが、その有益性については明らかにされていなかった。Lancet誌2024年7月20日号掲載の報告。

タイムラプスイメージングシステム、undisturbed培養、標準治療を比較

 研究グループは、undisturbedな培養環境と胚の選択を提供するタイムラプスイメージングシステム(タイムラプスイメージングシステム群)と、undisturbedな培養環境のみを提供するタイムラプスイメージングシステム(undisturbed培養群)の有効性について、タイムラプスイメージングシステムを使用しない標準治療(対照群)と比較した。

 試験は、英国と香港の7施設でIVFまたはICSIを受ける参加者を集め、3群並行にて行われた。

 胚培養士が参加者を、Webベースシステムを用いて、クリニックで層別化してタイムラプスイメージングシステム群、undisturbed培養群、対照群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。割り付けについて、参加者と試験スタッフは盲検化されたが、胚培養士は盲検化されなかった。

 参加条件は、女性は18~42歳、男性(すなわちパートナー)は18歳以上とし、カップルは1回目、2回目または3回目のIVFもしくはICSI治療を受けていること、配偶子ドナーを使用している場合は参加できないこととした。

 主要アウトカムは、生児出産。ITTを原則とした解析を行い、主な解析は主要アウトカムのデータを入手できた参加者(Full Analysis Set:FAS)で報告した。

生児出産率、いずれも標準治療とで有意差なし

 2018年6月21日~2022年9月30日に1,575例(英国1,185例、香港390例)が無作為化された(各群525例)。

 生児出産率は、タイムラプスイメージングシステム群33.7%(175/520例)、undisturbed培養群36.6%(189/516例)、対照群33.0%(172/522例)。対照群と比較した補正後オッズ比(OR)は、タイムラプスイメージングシステム群1.04(97.5%信頼区間[CI]:0.73~1.47)、undisturbed培養群1.20(0.85~1.70)であり、いずれも対照群との有意差は認められなかった。

 リスク低下の絶対差は、タイムラプスイメージングシステム群と対照群では0.7%ポイント(97.5%CI:-5.85~7.25)、undisturbed培養群と対照群では3.6%ポイント(-3.02~10.22)であった。

(ケアネット)