子宮移植は技術的に可能であり、移植子宮生着後の生児出産率は高かった。米国・ベイラー大学医療センターのGiuliano Testa氏らが、「Dallas Uterus Transplant Study:DUETS試験」の結果を報告した。有害事象は一般的で、医学的および外科的リスクはドナーだけでなくレシピエントにも影響を及ぼしたが、現在までのところ出生児に先天異常や発育遅延は発生していないという。絶対的子宮性不妊症は500人に1人の割合で発生し、生殖医療における障壁となっているが、子宮移植により妊娠・出産できる可能性が示されている。JAMA誌オンライン版2024年8月15日号掲載の報告。
少なくとも1回の生児出産を伴う移植子宮生着と安全性を評価
研究グループは、2016年9月14日~2019年8月23日に子宮移植を行った。レシピエントの適格基準は、絶対的子宮性不妊症で、少なくとも1つの卵巣は機能しており、体外受精を受ける意思があり、医学的・心理学的基準を満たした20~40歳の女性であった。ドナーは、25~65歳で少なくとも1回の正期産の出産経験があり、医学的・心理学的合併症がないこととした。
ドナー子宮の摘出は、生体ドナー18例のうち最初の13例は開腹手術、5例は低侵襲ロボット支援経膣的子宮摘出術、死亡ドナー2例は開腹手術にて行われた。
レシピエントは、移植前に良質な正倍数性受精卵を2個以上(11例目以降のレシピエントは4個)得ている必要があった。
子宮移植は、子宮静脈と両側外腸骨血管の血管吻合を行い、同所的に行われた。移植後は、1~2回の生児出産後まで、または移植が失敗し移植された子宮が摘出されるまで免疫抑制薬を投与した。
主要アウトカムは、子宮移植の有効性(少なくとも1回の生児出産を伴う移植子宮生着)、副次アウトカムは安全性とした。
20例中14例、70%で子宮移植に成功
移植を希望した701例中、適格基準を満たした20例(年齢中央値30歳[範囲:20~36]、アジア人2例、黒人1例、白人16例)がレシピエントとして登録された。うち18例は先天性子宮欠損症、2例は良性疾患による子宮摘出の既往であった。生体ドナー18例の年齢中央値は37歳(範囲:30~56)であった。
20例中14例(70%)で子宮移植が成功し、14例全例が少なくとも1回、生児出産した。移植に失敗した6例(死亡ドナー2例中1例、生体ドナー18例中5例)のうち、1例は移植後数時間以内の動脈出血による出血性ショックが原因で、5例は血管吻合部の血栓、あるいは子宮微小血管系の既存のアテローム性動脈硬化性変化に起因し、いずれも移植後2週間以内に生じた。
レシピエント20例中11例に少なくとも1件の合併症がみられた。母体および/または産科合併症は、成功した妊娠の50%で発生し、主なものは妊娠高血圧(Gestational hypertension)、子宮頸管無力症、早産(各2例[14%])であった。出生児16例に先天性奇形は認められなかった。生体ドナー18例中4例にGrade3の合併症がみられた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)