不妊症女性のうつ病有病率~メタ解析

不妊症に悩む女性におけるうつ病などのメンタルヘルスの問題は、男性よりも深刻な健康上の問題である。うつ病は、個人の健康に悪影響を及ぼし、生活の質を低下させる可能性がある疾患である。イラン・Shahid Beheshti University of Medical SciencesのZahra Kiani氏らは、不妊症の治療反応に対するうつ病の影響を考慮したうえでシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、不妊症女性におけるうつ病有病率を調査した。Fertility Research and Practice誌2021年3月4日号の報告。
各種データベースより、2000年から2020年4月5日までに公表された文献を、独立した2人のレビュアーが検索した。検索キーワードには、うつ病、障害、不妊症、有病率、疫学などを用い、ペルシャ語および英語で検索した。文献のタイトル、アブストラクト、フルテキストを評価した。レビュアーは、Newcastle-Ottawa Scaleを用いてエビデンスの質を評価した後、STATA version 14を用いて調査結果を分析した。不均一性および出版バイアスの評価には、I2およびEgger's検定を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・32件をメタ解析に含め、文献の不均一性を考慮し、変量効果モデルを用いて検討した。
・抽出された研究には、不妊症女性9,679例が含まれた。
・プールされた有病率の最低値は21.01%(95%CI:15.61~34.42、Hospital Anxiety and Depression Scaleで評価)、最高値は52.21%(95%CI:43.51~60.91、ベックうつ病評価尺度で評価)であった。
・不妊症女性におけるプールされたうつ病の有病率は、低中所得国で44.32%(95%CI:35.65~52.99)、高所得国で28.03%(95%CI:19.61~36.44)であった。
著者らは「不妊症女性のうつ病有病率は、一般人口よりも高かった。とくに低中所得国では、不妊症女性のうつ病に対する適切な対策、計画、政策を確立し、この問題を減少させるための取り組みを行う必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)
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