標的血管径を問わず新規の非複雑病変を有する患者において、薬剤コーティングバルーン(DCB)血管形成術とレスキューステント留置を併用する治療戦略は、計画された薬剤溶出性ステント(DES)留置と比較し、2年後のデバイス指向複合エンドポイント(DoCE)に関して非劣性を示さなかった。中国・第四軍医大学のChao Gao氏らREC-CAGEFREE I Investigatorsが、同国43施設で実施した医師主導の無作為化非盲検非劣性試験「REC-CAGEFREE I試験」の結果を報告した。新規冠動脈病変を有する患者に対するDCB血管形成術の長期的な影響はわかっていない。Lancet誌2024年9月14日号掲載の報告。
2年時のDoCE(心血管死、標的血管心筋梗塞、標的病変再血行再建術)を比較
研究グループは、急性冠症候群または慢性冠症候群で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を必要とする18歳以上の患者で、標的血管径を問わず新規の非複雑病変を有する患者を登録し、標的病変の前拡張が成功した患者を、パクリタキセルコーティングバルーンを用いたDCB血管形成術(レスキューステントオプション付き)群と第2世代のシロリムス溶出ステントを留置するDES群に、1対1の割合で無作為に割り付け、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月および24ヵ月後に追跡評価した。
割り付けに関しては、患者および治験責任医師は盲検化されなかったが、独立した臨床事象判定委員会(CEC)の委員および解析を行った統計学者は盲検化された。
主要アウトカムは、ITT集団(無作為化されたすべての患者)における24ヵ月時のDoCE(心血管死、標的血管心筋梗塞、臨床的・生理学的に適応とされた標的病変再血行再建術)で、非劣性マージンは絶対群間リスク差の片側95%信頼区間(CI)上限が2.68%未満とした。安全性についても、ITT集団で評価した。
DoCE発生率はDCB群6.4%、DES群3.4%、DCBの非劣性は認められず
2021年2月5日~2022年5月1日に2,902例が登録され、前拡張に成功した2,272例が無作為化された(ITT集団:DCB群1,133例[50%]、DES群1,139例[50%])。DCB群の1,133例中106例(9.4%)は、DCBによる血管形成術が不十分でレスキューDESを受けた(ITT集団ではDCB群に含まれる)。
計2,272例の患者背景は、年齢中央値62歳(四分位範囲[IQR]:54~69)、男性1,574例(69.3%)、女性698例(30.7%)であった。
データカットオフ(2024年5月1日)時点で、追跡期間中央値は734日(IQR:731~739)であった。
24ヵ月時のDoCEは、DCB群で72例(6.4%)、DES群で38例(3.4%)に発生し、累積イベント発生率の群間リスク差は3.04%であった(片側95%CI:4.52[非劣性のp=0.65]、両側95%CI:1.27~4.81[p=0.0008])。
インターベンション中の急性血管閉塞は、DCB群では発生しなかったが、DES群では1例(0.1%)に認められた。周術期心筋梗塞はDCB群で10例(0.9%)、DES群で9例(0.8%)発生した。
本試験は、現在、延長追跡試験が進行中である。
(ケアネット)