発症後4.5時間以内の静脈内血栓溶解療法が適応となる急性虚血性脳卒中患者において、90日後の機能的アウトカムに関してtenecteplaseはアルテプラーゼに対して非劣性であることが認められ、安全性プロファイルも同様であった。中国・National Clinical Research Center for Neurological DiseasesのXia Meng氏らが、同国の55施設で実施した無作為化非盲検(評価者盲検)第III相非劣性試験「ORIGINAL試験」の結果を報告した。tenecteplaseはアルテプラーゼの遺伝子組み換え体で、フィブリン特異性が高く半減期が長いことから、単回ボーラス投与が可能である。tenecteplaseはアルテプラーゼと比較して、90日後の機能的アウトカム、死亡率、症候性頭蓋内出血の発生率が同等であることが報告されているが、中国人の急性虚血性脳卒中患者に対するtenecteplase 0.25mg/kgの有効性に関するエビデンスは限られていた。著者は、「本試験の結果は、脳梗塞発症後4.5時間以内の静脈内血栓溶解療法として、tenecteplaseはアルテプラーゼに代わる適切な治療法であることを支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年9月12日号掲載の報告。
90日後のmRSスコア0または1の割合を比較
研究グループは、脳卒中重症度評価スケール(NIHSS)スコアが1~25で測定可能な神経学的欠損を有し、症状が30分以上持続しており、症状発現後4.5時間以内の18歳以上の急性虚血性脳卒中患者を、tenecteplase(0.25mg/kg静注)群とアルテプラーゼ(0.9mg/kg静注)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。
主要アウトカムは、90日時に修正Rankinスケール(mRS)スコア0または1を達成した患者の割合で、非劣性マージンはリスク比(RR)の95%信頼区間(CI)の下限が0.937とした。安全性アウトカムは、試験薬投与終了後36時間以内の症候性頭蓋内出血、90日以内の全死亡、90日時のmRSスコア5または6であった。
2021年7月14日~2023年7月14日に1,504例がスクリーニングされ、このうち1,489例が無作為化された(tenecteplase群744例、アルテプラーゼ群745例)。
tenecteplaseの非劣性を検証、症候性頭蓋内出血および90日全死亡は同等以下
1,489例のうち、治療を受けなかった21例と、無作為化手続き完了前に治療を開始したことが判明した3例を除く、計1,465例が有効性の解析対象集団となった。患者背景は、年齢中央値66.0歳、女性446例(30.4%)であった。
90日時にmRSスコア0または1を達成した患者の割合は、tenecteplase群72.7%(532/732例)、アルテプラーゼ群70.3%(515/733例)で、tenecteplaseのアルテプラーゼに対する非劣性が検証された(RR:1.03、95%CI:0.97~1.09、p=0.003)。
症候性頭蓋内出血は、各群で9例(1.2%)に発生し(RR:1.01、95%CI:0.37~2.70)、そのうち、tenecteplase群の3例、アルテプラーゼ群の5例が死亡した。
90日死亡率は、tenecteplase群4.6%(34/732例)、アルテプラーゼ群5.8%(43/733例)であった(RR:0.80、95%CI:0.51~1.23)。
(ケアネット)