膀胱がんの拡大リンパ郭清、周術期の合併症・死亡増(SWOG S1011)/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/10/21

 

 膀胱全摘除術を受ける限局性筋層浸潤性膀胱がん患者において、拡大リンパ節郭清は標準的リンパ節郭清と比較して、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を延長しないばかりか、高率の周術期合併症および死亡の発生が認められた。米国・ベイラー医科大学医療センターのSeth P. Lerner氏らSWOG S1011 Trial Investigatorsが第III相多施設共同無作為化試験「SWOG S1011試験」の結果を報告した。NEJM誌2024年10月2日号掲載の報告。

主要評価項目はDFS

 研究グループは、臨床病期T2(筋層に限局)~T4a(隣接臓器に浸潤)、リンパ節転移は2個以下(N0、N1、N2)の限局性筋層浸潤性膀胱がん患者を、両側標準リンパ節郭清術(両側骨盤内のリンパ節郭清)または拡大リンパ節郭清術(総腸骨リンパ節、坐骨前リンパ節、仙骨前リンパ節の切除を含む)を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

 無作為化は手術中に行われ、術前補助化学療法の内容、臨床病期(T2 vs.T3またはT4a)、Zubrod’s パフォーマンスステータススコア(0または1 vs.2[5ポイントスケールで評価、高スコアほど障害が重度であることを示す])で層別化した。

 主要評価項目はDFSとし、OSおよび安全性も評価した。

推定5年DFS率は56% vs.60%

 2011年8月~2017年2月に658例が登録され、適格患者592例が拡大リンパ節郭清群(292例)または標準的リンパ節郭清群(300例)に無作為化された。被験者の大多数の病期がT2であり(各群71%)、組織学的サブタイプの混在が認められたのは13%。各群の被験者57%が術前補助化学療法既往であり、大多数(拡大リンパ節郭清群89%、標準的リンパ節郭清群86%)がシスプラチンベースの治療を受けていた。

 手術は、米国とカナダの計27施設36人の外科医により行われた。

 追跡期間中央値6.1年の時点で、再発または死亡は、拡大リンパ節郭清群で130例(45%)、標準的リンパ節郭清群で127例(42%)報告された。推定5年DFS率はそれぞれ56%、60%であった(再発または死亡のハザード比[HR]:1.10[95%信頼区間[CI]:0.86~1.40]、p=0.45)。

 5年OS率は、拡大リンパ節郭清群59%、標準的リンパ節郭清群63%であった(死亡のHR:1.13[95%CI:0.88~1.45])。

 Grade3~5の有害事象は、拡大リンパ節郭清群で157例(54%)、標準的リンパ節郭清群で132例(44%)発現した。術後90日以内の死亡は、それぞれ19例(7%)、7例(2%)であった。

(ケアネット)

原著論文はこちら

Lerner SP, et al. N Engl J Med. 2024;391:1206-1216.