大腸内視鏡検査で陰性だった場合、再スクリーニングは5年後以降でよいことを支持する研究結果が、インディアナ医科大学の胃腸-肝臓学部門のThomas F. Imperiale氏らによって報告された。NEJM誌2008年9月18日号掲載より。
腺腫なしだった1,256例の、5年後の所見を検討
調査は、内視鏡検査の結果、腺腫が認められなかった被験者の、5年後の再スクリーニング時の所見を進展病巣によって分類し検討した。分類項は、ポリープ、過形成性ポリープ、直径1cm未満の管状腺腫、進行性腺腫(直径1cm以上の管状腺腫、もしくは絨毛状の組織学的特徴または高度形成異常を有するポリープ)、癌。
基線で特定した内視鏡検査で腺腫なし被験者は2,436例。そのうち再スクリーニングまでの平均期間5.34±1.34年だった1,256例(51.6%)が検討された。この追跡群の基線における平均年齢は56.7歳、56.7%が男性。
女性より男性のリスク高いが、癌0例、進行性線種もわずか
追跡群で、再スクリーニングの結果、癌が見つかった人はいなかった(検出率の95%信頼区間:0~0.24%)。
1個以上の腺腫が見つかったのは201例(16.0%)だった。
進行性腺腫は16例(1.3%)で、計19個が見つかり、10例(52.6%)の病変部は左結腸曲の遠位部だった。進行性腺腫のリスクは、基線でポリープがなかった人と、基線で過形成性ポリープを有していた人との間に有意差はなかった[1.1%(12/1,057例)] vs. 2.0%(4/199例)、それぞれP = 0.30]。
男性は女性よりも、腺腫(尿細管直径1cm未満、あるいは進行性)の有する率が高い傾向があり(相対リスク:1.88、95%信頼区間:1.42~2.51)、特に進行性腺腫の有する率は高い傾向が見られた(3.31、1.02~10.8)。
Imperiale氏は、「最初の内視鏡検査時に結腸直腸で腫瘍形成のない人は、大腸癌の5年リスクは非常に低い。進行性腺腫のリスクは女性よりも男性のほうが高いが、全体として見れば低率である」と述べ、「我々の所見は、大腸内視鏡検査で異常が認められなかった被験者の再スクリーニングは、5年後以降でよいことを支持するものだ」と結論した。
(武藤まき:医療ライター)