高リスク網膜芽細胞腫の術後CEV療法、3サイクルvs.6サイクル/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/06

 

 片眼性の病理学的高リスク網膜芽細胞腫の術後補助療法において、6サイクルの化学療法(CEV:カルボプラチン+エトポシド+ビンクリスチン)に対して3サイクルのCEV療法は5年無病生存率が非劣性であり、6サイクルのほうが有害事象の頻度が高く、QOLスコアの低下が大きいことが、中国・中山大学のHuijing Ye氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年10月21日号に掲載された。

中国の非盲検無作為化非劣性試験

 本研究は、病理学的高リスク網膜芽細胞腫患者に対する術後CEV療法の有効性に関して、6サイクルに対する3サイクルの非劣性の検証を目的とする非盲検無作為化試験であり、2013年8月~2024年3月に中国の2つの主要な眼治療施設で患者を登録した(Sun Yat-Sen University Clinical Research 5010 Programなどの助成を受けた)。

 高リスクの病理学的特徴(高度な脈絡膜浸潤、視神経後方への進展、強膜浸潤)を有する片眼性の網膜芽細胞腫に対する摘出術を受けた患者187例(年齢中央値25ヵ月[四分位範囲[IQR]:20.0~37.0]、女児83例[44.4%])を対象とした。これらの患児を、術後CEV療法を3サイクル行う群(94例)またはこれを6サイクル行う群(93例)に無作為に割り付けた。

 主要評価項目は5年無病生存率とし、非劣性マージンを12%に設定した。無病生存は、無作為化から、局所再発、領域再燃、遠隔転移、対側眼の網膜芽細胞腫、2次原発がん、全死因死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間と定義した。

5年全生存率には差がない

 全例が試験を完了し、追跡期間中央値は79.0ヵ月(IQR:65.5~102.5)であった。無病生存イベントは19例(3サイクル群9例[9.6%]、6サイクル群10例[10.8%])発生した。局所領域の治療失敗を7例(4例[4.3%]、3例[3.2%])、遠隔転移を15例(7例[7.4%]、8例[8.6%])に認めた。

 主要評価項目の推定5年無病生存率は、3サイクル群が90.4%、6サイクル群は89.2%(群間差1.2%、95%信頼区間[CI]:-7.5~9.8)であり、非劣性基準を満たした(非劣性のp=0.003)。ハザード比(HR)は0.89(95%CI:0.36~2.20)だった(p=0.81)。

 5年全生存率(3サイクル群91.5% vs.6サイクル群89.3%、HR:0.78[95%CI:0.31~1.98]、p=0.61)は両群間に差はなかった。2歳以上の111例における健康関連QOLの評価では、術後6ヵ月時の身体機能、精神的機能、社会生活機能の低下が、3サイクル群で少ない傾向がみられた。

 また、総費用、直接費用、間接費用は、いずれも6サイクル群に比べ3サイクル群で有意に少なかった(それぞれ42.4%、41.2%、43.0%低い、すべてp<0.001)。

Grade1/2の有害事象が有意に少ない

 有害事象は、3サイクル群で93例中75例(80.6%)に282件、6サイクル群で93例中89例(95.7%)に681件発現した。Grade1/2の有害事象は3サイクル群で有意に少なかった(78.5% vs.95.7%、p<0.001)。治療関連死は両群とも認めなかった。

 著者は、「3サイクルのCEV療法は、片眼性の病理学的高リスク網膜芽細胞腫の術後補助化学療法として6サイクルCEVに代わる有効な治療法となる可能性がある」「3サイクルCEVは、治療期間の短縮に伴うQOLの向上や経済的負担の軽減に寄与すると考えられる」「本試験は非盲検デザインであり、非劣性マージンは12%と大きめに設定されているため、慎重な解釈が求められる」としている。

(医学ライター 菅野 守)