妊娠超初期の薬剤中絶、有効性と安全性を確認/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/11/18

 

 子宮内妊娠が確認される前の超初期における薬剤中絶は、子宮内妊娠が確認されるまで中絶を延期するという標準的なアプローチと比較して、完全な中絶に関して非劣性であることが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のKarin Brandell氏らVEMA (Very Early Medication Abortion) Study Groupが、多施設共同無作為化非劣性対照試験の結果を報告した。ミフェプリストン・ミソプロストールによる薬剤中絶は、高い有効性と安全性が確認されている。しかしながら、妊娠が超音波検査で確認できる前の妊娠超初期での有効性および安全性のエビデンスは不十分であった。NEJM誌2024年11月7日号掲載の報告。

9ヵ国26施設の無作為化試験、子宮内妊娠が確認されるまで待機する標準ケアと比較

 試験は9ヵ国26施設(オーストリア1、オーストラリア1、デンマーク2、フィンランド1、ネパール7、ニュージーランド1、ノルウェー1、スコットランド2、スウェーデン10)で、2019年3月~2023年4月に行われた。対象は、薬剤中絶を希望する、推定妊娠期間が最長42日、超音波検査で子宮内妊娠が確認されていない(子宮内が空洞または卵黄嚢や胚子極[embryonic pole]のない嚢状の構造物として視認される)女性であった。18歳以上で英語または試験地の言語を話し、試験について書面および口頭で説明を受けた後に参加に同意した場合を適格とし、異常妊娠(出血、片側腹痛など)の症状または兆候、異所性妊娠のリスク因子(以前の異所性妊娠、子宮内避妊用具[IUD]の使用など)、薬剤中絶に禁忌がある場合は除外した。

 被験者は、即時(試験組み入れ当日または翌日)に中絶を開始する群(早期開始群)または子宮内妊娠が確認(試験7日目[±2日]の再超音波検査で確認)されるまで治療を待機する群(標準ケア群)に1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 主要アウトカムは、完全な中絶。非劣性マージンは、群間差の絶対値3.0%ポイントとした。

完全な中絶について非劣性を確認

 適格基準を満たした合計1,504例の女性が、早期開始群(754例)または標準ケア群(750例)に無作為化された。ベースライン特性は両群で類似しており、平均年齢は早期開始群29.6±6.4歳、標準ケア群29.7±6.5歳、BMI値は24.9±4.8と24.9±4.9、妊娠回数は初回が22.5%と24.7%、3回以上が59.6%と59.3%だった。ただし、診断された異常妊娠についてのみ、21件(2.8%)と104件(14.4%)で差異を認め、その内訳を見ると早期流産は9件(1.2%)と96件(13.3%)であった。

 ITT解析において、完全な中絶は早期開始群676/710例(95.2%)、標準ケア群656/688例(95.3%)で認められた。全体群間差は-0.1%ポイント(95%信頼区間:-2.4~2.1)で、早期開始群の標準ケア群に対する非劣性を確認した。

 異所性妊娠が早期開始群10/741例(1.3%)、標準ケア群6/724例(0.8%)で報告され、早期開始群の1例では診断前に破裂した。

 重篤な有害事象は、早期開始群12/737例(1.6%)、標準ケア群5/718例(0.7%)で報告された(p=0.10)。大部分は異所性妊娠または不完全な中絶の治療のための、合併症を伴わない入院であった。

(ケアネット)