慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/12/20

 

 心血管系薬剤のリフィル処方を先延ばしにする患者にリマインダーのテキストメッセージを送っても、薬局の処方データに基づく服薬アドヒアランスの改善や、12ヵ月時の臨床イベントの減少は得られなかった。米国・Kaiser Permanente ColoradoのP. Michael Ho氏らが、プラグマティックな無作為化非盲検試験において示した。患者の行動変容にテキストメッセージが用いられるようになってきているが、これまで厳密な検証は行われていないことが多かった。著者は、「服薬アドヒアランスの不良には、複数の要因が関与していると考えられることから、今後の介入ではアドヒアランスに影響を与える複数の要因に対処するよう取り組む必要があるだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年12月2日号掲載の報告。

服薬アドヒアランスが不十分な患者を4群に無作為化、1年後のPDCを比較

 研究グループは、米国の3つの医療システム(Denver Health and Hospital Authority、Veterans Administration (VA) Eastern Colorado Health Care System、UCHealth's University of Colorado Hospital)において、1つ以上の心血管関連疾患(高血圧症、脂質異常症、糖尿病、冠動脈疾患[CAD]、心房細動)の診断を有し、その治療のために1種類以上の薬剤が処方されている18歳以上90歳未満の成人患者を特定した。対象となる心血管系薬剤のリフィル処方に7日以上間隔が空いた患者を、次の4群に無作為に割り付けた。(1)一般的リマインダー群(処方間隔が空いた場合に処方を促すテキストメッセージを送信)、(2)行動ナッジ群(行動ナッジを組み込んだリマインダーメッセージを送信)、(3)行動ナッジ+チャットボット群(行動ナッジを組み込んだリマインダーメッセージに、服薬アドヒアランスの一般的な障壁を評価するチャットボットを追加)、(4)通常ケア群(テキストメッセージを送信しない)。

 主要アウトカムは、無作為化後12ヵ月間における処方日数の割合(proportion of days covered:PDC)で定義したリフィルアドヒアランスであった。

いずれのメッセージを送っても、送らない場合と差はなし

 2019年10月~2022年4月に9,501例が無作為化され、2023年4月11日まで追跡した。このうち追跡データがない232例を除外した9,269例が解析対象となった。平均年齢は60歳、女性が47%(4,351例)、黒人が16%(1,517例)、ヒスパニック系が49%(4,564例)であり、4群の患者背景はほぼ同等であった。

 12ヵ月時の平均PDCは、一般的リマインダー群62.0%、行動ナッジ群62.3%、行動ナッジ+チャットボット群63.0%、通常ケア群60.6%であった(p=0.06)。

 通常ケア群との補正後絶対差は、一般的リマインダー群2.2(95%信頼区間:0.3~4.2、p=0.02)、行動ナッジ群2.0(0.1~3.9、p=0.04)、行動ナッジ+チャットボット群2.3(0.4~4.2、p=0.02)であったが、多重比較の調整後はいずれも統計学的有意差は認められなかった。

 副次アウトカムである救急外来受診、入院および死亡の臨床イベントまでの期間についても、群間で差はなかった。

(ケアネット)