小児の解熱にパラセタモール+イブプロフェン併用が経済的:PITCH

提供元:ケアネット

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公開日:2008/10/10

 

本論は、イギリスの国民医療保健サービス(NHS)で、就学前の小児の解熱によく処方されるパラセタモール(別名アセトアミノフェン)とイブプロフェンに関する有効性等の比較研究(PITCH:Paracetamol plus ibuprofen for the treatment of fever in children)の報告の一つ。Sandra Hollinghurst氏ら効果とコストについて分析結果で、「両剤の併用がコスト面では最も効果が大きい」と報告した。 BMJ誌2008年9月9日号に掲載された。

48時間と5日後の効果と費用を比較検討




3肢無作為化試験の一部として、コスト分析と費用対効果分析を行った。対象はプライマリ・ケアおよび地域から集められた、腋窩体温が37.8度以上41度以下の生後6ヵ月~6歳児で、パラセタモールとイブプロフェンを単独または併用で投与した。

主要転帰尺度は、NHSと保護者が投じたコスト。コストと体温、不快感、活力、食欲、睡眠状態との比較を、投与後48時間時点と5日時点とで行ったコスト分析と、48時間時点のコストと小児が回復した割合とを比較した費用対効果分析を行った。

併用は効果もありNHSと親の費用負担を軽減




NHSの負担するコストは、48時間時点では、パラセタモール単独投与が11.33ポンド、イブプロフェン単独投与が8.49ポンド、併用は8.16ポンドだった。5日時点ではそれぞれ19.63ポンド、18.36ポンド、13.92ポンドに増加した。保護者が支払う経費は、48時間では、パラセタモール単独が23.86ポンド、イブプロフェン単独が20.60ポンド、併用では25.07ポンドだった、5日時点ではそれぞれ26.35ポンド、29.90ポンド、24.02ポンド。

48時間時点、5日時点で示された結果では不十分で、結論を断定するには至らず、特に48時間時点の費用対効果分析は、ある処置選択が他方より有意に費用対効果があったというエビデンスを得ることはほとんどできなかった。しかし4時間時点では、解熱時間を評価する主要項目に関して、イブプロフェン単独投与と併用治療は、パラセタモール単独投与より優れており、24時間時点では、併用治療が、この項目では最も効果があることが示された。

各処置間にコストの違いに関する明確なエビデンスはないが、臨床データおよびコストデータともに、両剤併用が最も費用対効果に優れていることを示唆した。Hollinghurst氏は「この処置選択は、ヘルスケア資源の消費がより少なく済みかつ効果があり、NHSと保護者とのに負担が軽減される」と結論している。