妊娠中の連続血糖モニタリングの有効性について、NHSイプスウィッチ病院(イギリス)糖尿病・内分泌学科のHelen R Murphy氏らが無作為化試験を行い検証した。「妊娠末期の血糖コントロール改善、低体重児もしくは巨大児のリスクを低減する」と報告している。BMJ誌2008年10月18日号(オンライン版2008年9月25日号)にて掲載。
イギリスにて前向きオープンラベル無作為化試験
1型および2型糖尿病を有する妊婦が連続血糖モニタリングを行うことの有効性(母体の血糖コントロール、低体重児および巨大児リスク)を評価するための試験は、イギリスにある糖尿病の妊婦のための健診クリニック2施設で、前向きオープンラベル無作為化試験にて行われた。
参加者は、1型糖尿病(n=46)と2型糖尿病(n=25)の女性71例で、妊婦管理+連続血糖モニタリング群(n=38、モニタリング群)と、標準妊婦管理群(n=33、対照群)に割り当てられた。モニタリング群には意思決定を共有するためと4~6週ごとに治療効果を確かめられる教育ツールが用いられた。そのほかの妊婦管理等は両群間で同等だった。
主要評価項目は、妊娠中期~末期の母体血糖コントロールとHbA1c値で4週ごとに測定された。副次評価項目は、出生時体重と巨大児リスクのスコア。出生時体重標準偏差スコアと出生時体重のパーセンタイル値(customised birthweight centiles)の指標を用い検討した。統計解析は、intention to treatを基礎に行われた。
血糖コントロールを改善し、低体重児、巨大児のリスクを減らす
妊娠32~36週までの平均HbA1c値は、モニタリング群5.8%(SD 0.6) vs. 対照群6.4%(SD 0.7)で、モニタリング群のほうが低かった。
対照群の乳児と比べて血糖モニタリング群の母親から生まれた乳児の平均出生時体重も、より低かった。出生時体重標準偏差スコアは0.9 vs. 1.6(効果サイズ平均0.7、95%信頼区間:0.0~1.3)。出生時体重のパーセンタイル値の中央値も低く(69% vs. 93%)、巨大児リスクも低かった(オッズ比:0.36、95%信頼区間:0.13~0.98)。
この結果Murphy氏は、「妊娠中の連続血糖モニタリングは、妊娠末期の血糖コントロール改善、低体重児もしくは巨大児のリスクを低減する」と結論している。