薬剤抵抗性の心房細動には肺静脈隔離術が優れている

提供元:ケアネット

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公開日:2008/11/05

 



心不全患者の心房細動を治療するために、肺静脈隔離術がますます多用されるようになっているが、肺静脈隔離術による治療と、両室ペーシング+房室結節アブレーション治療との比較を検討した「PABA-CHF研究グループ」(事務局・米国イリノイ州)のMohammed N. Khan氏らは、「薬物抵抗性の心房細動を起こした心不全患者には、肺静脈隔離術のほうが優れている」とすると報告した。NEJM誌2008年10月23日号より。

治療法ごとにQOLや歩行距離、駆出率などを比較




この前向き多施設共同臨床試験では、症候性の薬物抵抗性心房細動を有し、駆出率40%以下で、ニューヨーク心臓協会の心機能分類II度もしくはIII度の心不全患者を、「肺静脈隔離術」または「両室ペーシング+房室結節アブレーション」のいずれかの治療を受けるよう無作為に割り付けた。

全患者に、ミネソタ心不全QOL質問票(Minnesota Living with Heart Failure:スコア0~105、スコアが高いほどQOLが悪い)への回答、および心エコー検査と6分間歩行試験を行い、これらを複合主要エンドポイントとした。患者は6ヵ月間にわたり、心房細動の症候性および無症候性の症状発現についてモニタリングされた。

抗不整脈薬の投与がなくても71%が心房細動なし




全体で41例が「肺静脈隔離術」、40例が「両室ペーシング+房室結節アブレーション」の治療を受け、全例6ヵ月間の追跡調査を受けた。

6ヵ月時点における複合主要エンドポイントの「肺静脈隔離術」群と「両心室性ペーシング+房室結節アブレーション」群の比較から、質問票スコアの改善(60対82、P<0.001)、6分間歩行距離の延長(340m対297m、P<0.001)、駆出率の増加(35%対28%、P<0.001)と、いずれも「肺静脈隔離術」群が有利だった。また同群で抗不整脈薬を投与された患者の88%と、投与されなかった患者も71%が、6ヵ月時点でも心房細動はなかった。

「肺静脈隔離術」群では肺静脈狭窄が2例、心内膜液浸出が1例、肺水腫が1例発生。「両室ペーシング+房室結節アブレーション」群では導線脱落が1例、気胸が1例発生している。

以上からKhan氏は「肺静脈隔離術の治療は、薬剤抵抗性の心房細動がある心不全患者への治療法として、両室ペーシング+房室結節アブレーションより優れている」と結論付けた。

(武藤まき:医療ライター)