満腹・早食いの人は、肥満(BMI 25以上)になる割合が、そうでない人と比べて3倍以上に上ることが、大阪大学公衆衛生学教授の磯博康氏らの研究グループによる、肥満と食習慣との関連を目的とする調査の結果、報告された。BMJ誌2008年11月8日号(オンライン版2008年10月21日号)掲載より。
「満腹食い」:男性50.9%、女性58.4%、「早食い」:男性45.6%、女性36.3%
調査対象は、秋田県井川町および大阪府八尾市に住む住民で、2003~2006年に行われた心血管リスクに関する調査に参加した30~69歳の男女、計3,287人(男1,122人、女2,165人)。
男性は平均年齢55.3歳、肥満(BMI 25以上)の人は379人(33.8%)だった。女性は同52.4歳、472人(21.8%)。
「満腹まで食べる」(満腹食い)と回答したのは男性571人(50.9%)、女性1,265人(58.4%)。「食べるのが早い」(早食い)と回答したのは男性523人(45.6%)、女性785人(36.3%)だった。
「非満腹・非早食い」の人に比べ男性3.13倍、女性3.21倍
「満腹・早食い」の人は男女とも「非満腹・非早食い」の人に比べ、平均年齢、身長、体重、BMI、エネルギー摂取量ともに高値だった。「満腹・早食い」の男性(313人)の各値は、51.4歳、166.6cm、69.6kg、25.0、2,296kcal、女性(553人)は50.9歳、154.7cm、57.5kg、24.0、1,840kcal。「非満腹・非早食い」の男性(352人)の各値は、58.1歳、164.8cm、63.1kg、23.2、2,190kcal、女性(668人)は54.6歳、153.5cm、51.6kg、21.9、1,693kcal。
「満腹食い」の人が肥満になる割合は、男性で2倍、女性は1.92倍。「早食い」だと肥満になる割合は、男性で1.84倍、女性2.09倍であった。これらのオッズ比は、エネルギー摂取量、食物繊維摂取量、飲酒、喫煙、身体活動度、地域性で補正後も変化はなかった。
「満腹・早食い」の人が「非満腹・非早食い」の人に比べ肥満になる割合は、男性3.13倍、女性3.21倍であった。
「満腹食いと早食いが、日本の男性、女性いずれの肥満とも関連していることが明らかとなった。特に満腹・早食いが肥満に重大な影響を及ぼしているようだ」と結論している。