公衆衛生施策における大腸がんスクリーニングの精度:フィンランド

提供元:ケアネット

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公開日:2008/12/19

 



便潜血検査を取り入れた大腸がんスクリーニングは死亡率を低下させることは、4つの無作為化スクリーニング試験で明らかになっている。しかし、公衆衛生施策において死亡率低下の効果があることが常に示されているわけではない。フィンランドがん登録機関のNea Malila氏らの研究グループは、2004年にフィンランドで開始された、大腸がんの無作為化スクリーニング・プログラムについて検証した。BMJ誌2008年12月6日号(オンライン版2008年11月3日号)より。

参加者の偏りと診断バイアスを排除




この研究は、大腸がん検出のための便潜血検査、スクリーニング・エピソード、スクリーニング・プログラムそれぞれの精度、および新しい公衆衛生施策の実施段階で取り入れられた無作為化の利点を検証することを目的に行われた。

対象集団内の個々のレベルに無作為化を用いた公衆衛生施策は、2004~2006年にかけて、フィンランドの自治体431のうち161で実施された。60~64歳の成人10万6,000人が参加、スクリーニング群と対照群に無作為に割り付け、スクリーニング群の5万2,998例に便潜血検査キットが届けられた。

主要評価項目は、出現率、参加者の偏りと過剰診断を補正したうえでの便潜血検査、エピソード、プログラムそれぞれの精度を感度で評価した。

無作為化スクリーニングの有効性を支持




スクリーニングへの応答は全体として高く(70.8%)、男性(63.3%)と比べて女性(78.1%)で有意に高率だった。対照群でのがん出現率は、男性のほうが女性より高かった(103対93:/10万人年)が、中間期癌に関しては逆転した(42対49:/10万人年)。

便潜血検査の感度は54.6%。陽性例で中間期癌が検出されたのはごくわずかで、エピソード段階での出現感度は51.3%と便潜血検査時点の精度とほぼ並んだ。プログラム精度は37.5%だった。

研究グループは、相対的に感度は低いとはいえ、フィンランドの大腸がんの無作為化スクリーニング・プログラムの精度はまずまずだと述べている。また、どんな検査方法を用いるにせよ、大腸がんのスクリーニングでは、対象集団を無作為化したうえで始める公衆衛生プログラムでなければならないと結論づけた。