高齢者の軽度骨粗鬆症性骨折の後、5~10年後の死亡リスクは増大することが、オーストラリアSt Vincent’s HospitalのDana Bliuc氏らによって明らかになった。骨折5年以内の標準化死亡比は、約1.4~3.5に上るという。また再度骨折は、5年間の死亡リスクのさらなる増大につながることも報告された。これまで、骨粗鬆症性骨折後の長期死亡率については、あまりデータが発表されていなかった。JAMA誌2009年2月4日号より。
股関節骨折後の標準化死亡率は2.43~3.51
Bliuc氏らは、オーストラリアDubbo地域に住む60歳以上高齢者について、1989年から前向き疫学調査を行った。そのうち、1989~2007年の間に骨折をした60歳以上高齢者について、詳しく調べ、死亡率を比較した。
調査期間中、軽度の骨粗鬆症性骨折を発症したのは、女性が952人、男性が343人だった。そのうち、女性の461人、男性の197人が死亡した。
年齢補正後の標準化死亡率は、股関節骨折後の女性が2.43(95%信頼区間:2.02~2.93)、男性が3.51(同:2.65~4.66)で、脊椎骨折の女性が1.82(同:1.52~2.17)、男性が2.12(同:1.66~2.72)だった。
骨盤や遠位大腿骨などの重度骨折後の標準化死亡率は、女性が1.65(同:1.31~2.08)で男性が1.70(同:1.23~2.36)、軽度骨折後の同率は女性が1.42(同:1.19~1.70)で男性が1.33(同:0.99~1.80)だった。
骨折をしなかった人に比べ、骨折後5年以内の死亡率はすべての骨折で高く、また股関節骨折については骨折後10年間の死亡率も高かった。骨折による死亡率の増加分について見てみると、女性では1.3~13.2/百人・年、男性では2.7~22.3/百人・年だった。
再度骨折は死亡リスクをさらに増大
また、再度の骨折は死亡リスクの増大につながり、同ハザード比は女性で1.91、男性では2.99だった。骨折5年後の標準化死亡率は、再度骨折のあった人では女性が2.21、男性が3.53と、一度だけ骨折した人の同女性1.41や1.82に比べて高かった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)