研修医・医学生が指導医に臨床サポートを請う際、どのような因子が影響しているのか。ウィルソン教育研究センター(カナダ、トロント)のTara J T Kennedy氏らが行った、決定プロセスを理論化するグラウンデッドセオリー研究の結果が、BMJ誌2009年2月14日号(オンライン版2009年2月9日号)で報告されている。研修医らが戦略的な思考プロセスを経てアドバイスを求める姿勢が浮き彫りになった。
研修医を含む病棟チームを観察およびインタビュー
Kennedy氏らは研修医らの思考プロセスを理論化するため、2段階--内科・救急部門での臨床活動(216時間)の観察と簡単な面接(Phase 1)、暗黙の影響因子を徹底調査するため36項目にわたるインタビューをビデオ撮影し読み取る(Phase 2)調査を行った。
調査は、カナダの3つの教育病院で実行され、総合内科病棟と救急部門に属する合計124人(指導医31人、上級・下級研修医57人、医学生28人、看護師8人)が対象となった。
決定に影響を与えている3つの要因
データ収集・分析の結果、臨床サポートを求めるべきか否かの決定に、3つの要因が影響していることが明らかとなった。1つはクリニカルな問題(重要性、焦点)、2つ目は指導医のこと(利用度合い、親しみやすさ)、3つ目は自分自身のこと(スキル、独り立ちへの要求度、評価)。
研修医らは、頻繁かつ不適切なサポート要請は、自分に対する信用を脅かすものであることだと認識し、依頼の仕方を工夫した戦略を使ってもいた。それらの戦略は、サポート要請の重みづけ、要請の適時性を装うためのもので、誰にいつ要請を請うべきかを周到に練り、サポートを請うべきチームメンバーについても十分吟味をしていた。
Kennedy氏は、「研修医らはクリニカルな問題解決のためだけでなく、威信を保つために十分に考慮しサポートを要請している。こうした決定プロセスを明らかにすることは、適切な指導を進めるための研修計画に変化を与えるとともに、患者ケアの質的向上を進めるためのフレームワークを提供することになる」と結論している。