2008~09シーズン中に検査を行ったインフルエンザA(H1N1)ウイルスのうち、オセルタミビル(商品名:タミフル)耐性株が98.5%を占めたことが、CDC(米国疾病対策センター)のNila J. Dharan氏らワーキンググループの調べで明らかになった。同耐性株は、2007~2008シーズンから世界的に増加してきている。JAMA誌2009年3月11日号(オンライン版2009年3月2日号)より。
耐性株の割合は昨シーズン12.3%から今シーズン98.5%に大幅増加
同氏らは、2007年9月~2008年5月、2008年9月~2009年2月にかけて、CDCに寄せられたインフルエンザA(H1N1)ウイルスについて分析を行った。オセルタミビル耐性については、ノイラミニダーゼ阻害薬検定とピロシーケンス分析で確認した。
その結果、07~08シーズンのインフルエンザウイルスのうち、19%がA(H1N1)ウイルスで、24州から集められたインフルエンザA(H1N1)ウイルス1,155のうち、142(12.3%)がオセルタミビル耐性株だった。
08~09シーズンについては、インフルエンザA(H1N1)ウイルス268のうち、264(98.5%)がオセルタミビル耐性株だった。
オセルタミビル耐性株、症状や既往症、地域などで感受性株と類似
性別、年齢、人種や既往症についてオセルタミビル耐性株99例と感受性株182例について比較したところ、有意差は見られなかった。
抗ウイルス薬で治療を受けた人を除いて症状について比較したところ、感受性株群で筋肉痛や関節痛の発症率が有意に高かったが、その他の症状には有意差はなかった。また、入院率についても、感受性株群で有意に高率だったが、耐性株群のうち、入院直前で死亡した2人を含めると、有意差はなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)