ホームレスへの住居提供で、医療費など公的サービス費用が半減

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/14

 



 慢性的ホームレスの人(Chronically Homeless Persons)は、様々な問題を抱えており、医療サービス提供や刑務所への収容といったことに、多くの公的費用が費やされている。しかし、ホームレスに無料で住居を提供することで、そうした費用をおよそ半分に減らすことができるとする、研究結果が報告された。ワシントン大学のMary E. Larimer氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2009年4月1日号で発表した。

入居前ホームレスの公的サービス費用は月額1人4,066ドル




同氏らは、ワシントン州シアトルで2005年11月から2007年3月の間、慢性的ホームレスで住居を提供された95人と、住居の空きを待つ待機者39人について、調査を行った。いずれのグループに対しても、アルコール摂取を許可した。

住居群の、試験開始前の公的コストについて見てみると、刑務所等収容施設の費用、病院の医療費、救急医療費、アルコールや薬物解毒の治療などにかかった費用は、年間総額817万5,922ドルだった。1人当たりの月額中央値は、4,066(四分位範囲:2,067~8,264)ドルだった。

住居提供6ヵ月で公的サービス費用は53%減少




住居を提供されてから6ヵ月後、住居群に支払われた同コストは、月額中央値1,492(337~5,709)ドルに減少。さらに12ヵ月後には月額中央値958(98~3,200)ドルに減少した。

一般化推定方程式ポアソン回帰モデルで分析し、傾向スコア補正を行った結果、住居群は待機群に比べ、入居後6ヵ月で同コストが53%減少していた(率比:0.47、95%信頼区間:0.25~0.88)。

住居提供に要した費用である月額1人1,120ドルを差し引くと、住居群は待機群に比べ、月額1人平均2,449ドルの公的費用削減につながった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)