喘息患者によくみられる胃食道逆流について、プロトンポンプ阻害薬(PPI)治療が、喘息症状のコントロールを改善するのかどうか、また胃食道逆流が喘息のコントロール不良の原因なのかどうかを検討した米国肺協会(ALA)喘息臨床研究センターの研究班は、いずれも否とする報告を寄せた。NEJM誌2009年4月9日号より。
胃食道逆流が軽症または無症状の患者412例を無作為化二重盲検試験
研究班は、吸入コルチコステロイド薬治療にもかかわらずコントロール不良で、胃食道逆流については軽症または無症状である喘息患者412例を、1日2回esomeprazole 40mgを投与する群またはプラセボ投与群に無作為に割り付け比較した。
被験者は24週間、毎日の喘息日記の記入を課されながら、4週間に1回のスパイロメトリー検査、および喘息症状についてのアンケート調査で追跡された。また、胃食道逆流の有無を確認するため24時間pHモニタリングが実施された。
主要評価項目は、喘息コントロール不良によるエピソードの発生率とし、喘息日記への記入を基に評価された。
エピソード発生頻度はプラセボと同等
コントロール不良によるエピソードの頻度は、プラセボ群とesomeprazole群で変わらなかった(それぞれ2.3イベント/1人・年、2.5イベント/1人・年、P=0.66)。
喘息コントロール不良からくるエピソードの各項目に関しての治療効果は見られず、また副次評価項目(肺機能、気道反応性、喘息コントロール、排尿症状スコア、夜間中途覚醒、QOLなど)に関しても、治療効果は認められなかった。
pHモニタリングでは、参加者の40%で胃食道逆流の存在が確認されたものの、PPI治療の有益性を確認することはできなかった。
なお重篤な有害事象について、esomeprazole群の患者のほうがプラセボ群より少なかった(11対17)。
(朝田哲明:医療ライター)