火災関連死の現況が明らかに、インドの場合

提供元:ケアネット

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公開日:2009/04/23

 



インドでは若年女性で火災関連死の頻度が高く、これは台所事故、焼身自殺、一種の家庭内暴力などといった一般的原因と関連していることが、Prachi Sanghavi氏らが実施した後ろ向き解析によって明らかとなった。インドの病院ベースの調査では、公衆衛生上の問題としての火災関連死は放置されたままであることが指摘されている。全国調査のデータはなく、警察による発表が唯一の記録だという。Lancet誌2009年4月11日号(オンライン版2009年3月2日号)掲載の報告。

複数のデータセットを統合して、全国レベルの調査を実施




研究グループは、インドにおける火災関連死の現況を評価するために、複数の健康関連のデータセットを統合した。医学的に確証された死因に基づく都市部の死亡登録システムと、地方部で実施された口述剖検(verbal autopsy)に基づくサンプル調査のデータを用いて、火災関連死に関する全国調査を行い、年齢別、性別の解析を実施した。
 
サンプル登録システムと人口統計調査に基づいて、これらのデータを推定全死亡率と統合した。誤分類された火災関連死を含む可能性のある不明確な負傷カテゴリーを補正し、死亡が外的要因によると報告されている場合は焼身自殺と推定した。

女性が男性の3倍、死亡女性のほとんどが15~34歳




インドでは、2001年に16万3,000件を超える火災関連死が発生したと推定され、これは全死亡の約2%に当たる。この数字は警察発表の6倍に相当した。

このうち約10万6,000件が女性であり、そのほとんどが15~34歳の若年女性であった。この年齢と性別のパターンは地方で実施された複数の試験結果とも一致しており、火災関連死の発生率は女性が男性の3倍であった。

著者は、「インドでは若年女性で火災関連死の頻度が高く、これは台所事故、焼身自殺、一種の家庭内暴力などといった一般的原因と関連している」と結論したうえで、「リスクの高い集団を同定して既存のデータソースから構造的決定要因を探り出すことが喫緊の課題であり、場合によっては迅速な介入を行うべき」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)