米国で、高齢入院患者に対する、外来時からの継続的ケアの状況を調べたところ、過去10年間で悪化していることがわかった。入院前1年間に外来で診察をした医師が、入院時にも診察をしていた割合は、1996年の約5割から、2006年には約4割に減少していた。これは、米国Texas大学のGulshan Sharma氏らが明らかにしたもので、JAMA誌2009年4月22/29日号に発表した。
入院中かかりつけ医の診察を受けた割合は、44%から32%に減少
Sharma氏らは、公的高齢者向け医療保険メディケアのデータの中から、1996~2006年に入院した66歳超の患者302万770人について、後ろ向きに調査を行った。
その結果、1996年の入院患者のうち、過去1年間に外来で診察を受けた医師のうち最低1人に、入院中も診察を受けた人は、全体の入院患者のうち50.5%(95%信頼区間:50.3~50.7%)。また、かかりつけのプライマリ・ケア医に入院中も診察を受けた人は、全体の入院患者の44.3%(44.1~44.6%)であったが、2006年には、同割合はそれぞれ39.8%(39.6~40.0%)と31.9%(31.6~32.1%)に、共に減少していた。
継続ケアの割合は、週末入院や大都市圏で低率
なかでも、週末に入院した患者では13.9%(12.9~14.7%)であり、大都市圏に住む人では11.7%(11.1~12.3%)、一方ニューイングランド地方に住む人では16.2%(14.4~18.0%)と、大都市圏でも著しく低率だった。
また調査からは、1996~2006年にかけての、同割合の減少幅のおよそ3分の1に関しては、入院患者を担当する病院総合診察医(ホスピタリスト)の増加が原因だったことがわかったという。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)