母親の身長が高いほど、生まれる子どもの死亡率が低下

提供元:ケアネット

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公開日:2009/05/12

 

 母親の身長が高いほうが、生まれてくる子どもの死亡率は下がる傾向があるようだ。子どもが標準体重未満になるリスク、また発育不全、るいそう、貧血のそれぞれの発生リスクもまた、母親の身長が高いほど低下するという。これは米国Harvard大学のS. V. Subramanian氏らが、インドの5万人超の子どもについて行った調査で明らかにしたもので、JAMA誌2009年4月22/29日号で発表した。

母親の身長1cm増ごとに子どもの死亡率は0.978倍に

 同研究グループは、インドの2005~2006年の全国調査「National Family Health Survey」の結果を元に、0~59ヵ月の乳児5万750人について調べた。母親の年齢は、15~49歳だった。

子どもに関する情報は、母親に対面調査を行って収集し、人口統計・社会経済的因子などで補正を行っている。

 その結果、母親の身長が1cm高くなるにつれて、子どもの死亡率はおよそ0.978倍に低下(95%信頼区間:0.970~0.987、p<0.001)。子どもが標準体重未満であるリスクもまた、0.971倍(同0.971、同:0.968~0.974、p<0.001)、発育不全は0.971倍(0.968~0.973、p<0.001)、るいそうは0.989倍(0.984~0.994、p<0.001)、貧血は0.998倍(0.997~0.999、p=0.02)とそれぞれ低下していた。

母親身長145cm未満の子どもの死亡率は同160cm以上に比べ1.71倍

 さらに、身長が145cm未満の母親から生まれた子どもの死亡率(0.09)は、160cm以上の母親から生まれた子どもの同率(0.05)に比べ、1.71倍(95%信頼区間:1.37~2.13)にも上った。

 なお、父親の身長は、子どもの死亡率や貧血リスクには無関係だったが、標準体重未満や発育不全、るいそうに関するリスクは、やはり身長が高くなるにつれ減少していた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)